
Mastercard は毎年「度世界渡航先ランキング」を発表しています。Mastercard 調査「2018 年度世界渡航先ランキング」では、昨年に引き続きバンコクが世界第1位で、ロンドン、パリ、ドバイ、シンガポールがベスト5となりました。また日本からは東京が8位、大阪が19位にランクインしました。ランキングの半数がアジア太平洋の都市となっています。
世界渡航先上位 10 都市を訪れる渡航者(1 泊以上)の年間成長率(2017年)は、ソウルを除各都市で上昇し 2018年の予測では大幅な渡航者数の増加により全般的な成長が見込まれます。
【出展元】
→Mastercard 調査「2018 年度世界渡航先ランキング」 
 
 
「2018 年度世界渡航先ランキング」ベスト20

Mastercard の「世界渡航先ランキング」は、海外からの渡航者数(1 泊以上)と渡航先都市での消費額で世界の都市をランク付けし、翌年の渡航者数を予測しています。調査対象の162都市における海外からの渡航者数と消費額は、公表値をもとに導き出されています。翌年の予測は、このランキングが発表される以前の直近の旅行動向見通しを加重平均し、算出しています。
最強の観光都市はバンコク、大阪は今後大幅増加の可能性大

年間約2,000 万人の渡航者が海外から訪れるバンコクは、今年も1位に選出され、2018年には 9.6%の成長が予測されています。興味深いのはバンコクを訪れる渡航者が平均で「4.7 泊」滞在し、1日あたりの平均消費額が「173ドル」であった点です。手頃な費用なため渡航者の支出意欲が促され、バンコクはパリ、シンガポール、ソウルよりも旅行しやすい都市として見られる一方、2位にランクインしたロンドンよりも消費額が多くなっています。
外国人観光客が激増したと言われる大阪の渡航者数は842万人でバンコク、ロンドン、パリの半数にも満たない数値です。ただ、日本の都市が世界の渡航先として最も成長しており、沖縄が 39.2%、京都が 27.8%、大阪が 23.6%と 2009 年から 2017 年の過去 8 年間の年平均成長率が最も伸びています。
今後の課題は渡航者の消費額のアップ。受け皿となる高級ホテルは必須

渡航者の消費額に関しては、1 位には昨年に続きドバイが選出され、1 日あたりの平均消費額は 537 ド ルです。シンガポールやバンコク、東京などアジア太平洋の 4 つの都市もトップ 10 に選出されています。
東京・大阪の今後の方向性は渡航者数の増加を図りつつ消費額も同時にアップさせる事です。客数と客単価を上げる、シンプルな戦戦略ですが、難しい課題です。特に大阪には多額のお金を使う富裕層のニーズを満たせるだけのラグジュアリーホテルが不足しています。大阪都心部では雨後の竹の子の如く小中規模のホテルが建設されていますが、ほとんどが宿泊特化型のビジネスホテル クラスで、ラグジュアリーホテルの建設はごく少数です。
ソフト面の課題は「ナイトエンターテインメント」の充実
Mastercard調査の調査から少し話はそれますが、大阪観光局では訪日外国人旅行者の夜間活動状況を調査する「外国人夜間動向調査」を行いました。
この調査はJapan Connected‐free Wi-Fiを利用したユーザーのうち、ログデータの利用を許諾したユーザーのデータを分析したものです。これによると、夜間「20〜22時」と「22時〜24時」では活動している訪日外国人の数に大きな開きがあることがわかりました。
「20〜22時」に活動していた訪日外国人の数と比べて「22時〜24時」になると活動している人数は約40%減少していますが、同時間帯の日本人は約10%しか減少していません。この事から、多くの外国人旅行者にとって夜遅くなっても遊べる場所が無い、もしくは認知されていない。そのため、夕食の時間帯が過ぎたらもう宿泊先へ帰っていると推測されます。22時以降のナイトエンターテイメントが不足している事が数字で明らかになりました。

【出典元】→大阪観光局 マーケティング室>外国人夜間動向調査
この調査結果を踏まえ、大阪観光局では夜間のインバウンド向けサービスを提供する参加店を募り、訪日外国人に向けて告知・サービス券配布などの施策も検討しています。
JTB西日本は、2017年9月から、ナイトカルチャー創出事業として、大阪の繁華街「キタ」と「ミナミ」(心斎橋~難波駅周辺)のナイトクラブ10店の共通入場パス「OSAKA NIGHTCLUB PASS」を訪日外国人向けに販売をはじめました。大阪「キタ」と「ミナミ」で10店のナイトクラブをプロデュースするトライハードエンターテイメントジャパンが、全10店のナイトクラブに最大3日間自由に出入りできるCLUB PASSを発行し、JTB西日本が訪日外国人専用の観光案内所「関西ツーリストインフォメーションセンター」(4店舗)で販売しています。

大阪観光局 マーケティング室の分析結果は非常に的を得ており、それに対する対策も今後打ち出されて行くと思います。CLUB PASSの発行は、取り組みの1つに過ぎませんが、夜間の娯楽が少ないという訪日外国人の不満を解消し、娯楽費の消費が少ないという日本インバウンド市場の課題の解決にもつながる取り組みです。
また、数値を持って現状を把握し問題点を明確にした上で、その対策を打つ。とてもロジカルな手法なので、今後も新し施策が打ち出され効果確認が行われてい行く事でしょう。この積み重ねが大阪のインバウンド需要をさらに高める事につながると思います。
 
					
