総合不動産サービス大手のJLL社(ジョーンズ ラング ラサール株式会社)は大阪マーケットレポート 2021年第2四半期を発表しました。
プロパティクロックは世界の主要都市の賃料の上昇→下落→上昇のサイクルを時計に擬して表したものです。最新のプロパティクロックを見ると、ソウル、デリー、シンガポールが賃料上昇曲面、上海は下落が底打ち、メキシコシティ、サンパウロ、ロンドン、北京、香港が下落の減速局面にあり、ニューヨーク、東京、大阪が下落の加速局面に位置しています。
【出展元】
→JLL>大阪マーケットレポート 2021年第2四半期
大阪オフィス賃貸市場
大阪オフィス賃貸市場ですが、第2四半期の新規需要量は-3,000㎡となり5四半期連続のマイナスとなりました。需要の減退ペースは前期からほぼ横ばいで、宅配サービスや教育関連などサービス業で需要が見受けられました。また、空室率は2.0%となり、前期比0.2pt、前年比1.1pt上昇し、賃料は月額坪あたり23,743円となり、前期比1.1%、前年比1.9%の下落となりました。
新規供給予定ビルのリースアップの進捗は低調ですが、既存ビルの新型コロナウイルスの影響によるオフィスの縮小や解約は限定的で、空室率は緩やかな上昇、賃料は緩やかな下落にとどまると予想されます。ただし、今後も新型コロナウイルスの拡大次第で下振れする可能性があります。
大阪ロジスティクス賃貸市場
第2四半期の新規需要量はオンライン小売業や3PL企業による需要拡大により319,000㎡でした。既存物件でも空室消化が進み、新規供給量を上回る新規需要量となりました。第2四半期の新規供給は3棟250,000㎡となり、ストックは前期比5%の増加しました。
空室率は1.4%となり、前期比1.5pt、前年比6.6pt低下しました。賃料は月額坪あたり4,040円となり、前期比0.8%、前年比1.6%上昇しました。
今後も断続的に新規供給が予定されていますがテナントが内定している物件が多く、空室率はさらに低下する見通しです。今後も賃料の上昇基調が継続する可能性が高い状況です。
大阪投資市場
第2四半期の大阪圏の不動産投資額は前年同期比28%減、前期比45%減の1,227億円となりました。今期の代表的な取引としては、ラサールロジポート投資法人によるロジポート大阪ベイ、Deka Immobilien(デカ・イモビリエン)による住友商事心斎橋ビルの取得が挙げられます。
投資額をセクター別に見ると、大型オフィスや賃貸住宅の割合が高かった東京圏とは対照的に、大阪圏ではリテールや物流施設の割合が高くなりました。
国内全体では海外投資家の投資が減少していますが、大阪圏では海外投資家による大型物件の取得が複数見受けられました。投資家の物件取得意欲は依然として高く、利回りは横ばいからやや低下する可能性が考えられます。賃貸市場ではセクターによってコロナ禍の影響の悪化もみられますが、ポストコロナを見据えた動きが増えており、価格は全体としてはほぼ横ばいで推移する見通しです。