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2021年世界ホテル投資額は668億米ドル!予想外の水準まで宿泊需要が拡大、JLL「グローバルホテル投資の展望」

世界最大の総合不動産サービス会社の一つであるJLL(ジョーンズ・ラング・ラサール)は、ホテル投資の分析調査レポート「グローバルホテル投資の展望」を発表し、2021年通年の世界のホテル投資額は前年比133%増の668億米ドルとなり、予想外の水準まで宿泊需要が拡大している事を明らかにしました。

投資家の間では、収入を生むと同時に強力なインフレ対策にもなる資産を切望する声が高まっており、宿泊産業はこうした投資家が保有する潤沢な手持ち資金の運用先として、その恩恵を受けています。

【出展元】
→JLL>グローバルホテル投資の展望

 

1:ロックダウン疲れから需要が急回復


新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行は2020年に宿泊業界を直撃し需要が激減しましたが、2021年には世界の宿泊産業は回復基調に転じ、2021年末にはRevPAR(販売可能な客室1 室当たりの売り上げ)がアメリカ大陸を筆頭に2019年比で50-79%増の回復を見せました。

これはワクチン接種率の上昇や政府の大規模な景気対策に加え、人々のロックダウン疲れもあり、宿泊需要は予想外の高水準へと拡大し、業界の回復が加速する一助となりました。

 

 

2:コロナ禍以降、注目度が拡大した市場に投資資金が流入

 



2021年通年のホテル投資額は前年比133%増の668億米ドルとなりました。セクターによって需要の回復にばらつきがある中、投資家はポストコロナの需要回復期において、最も早くその恩恵を受けるであろうラグジュアリー・リゾートホテルの取得に注力しました。アメリカ大陸やEMEA(欧州・中東・アフリカ地域)で25億米ドルを超える案件など、複数の大型ホテルM&A案件などがみられました。

リゾート地のホテル投資額は92億米ドルで、2019年比で17%増となりました。一方、出張旅行需要や団体旅行需要の回復ペースは鈍く、最も流動性が高い都市部のホテルは2021年の投資額は2019年比で22%減となりました。

現在の市場環境を考慮すると、今後レジャー・リゾート市場に大きな需要が見込まれることから、投資家は引き続き両市場に注目するとみられます。

3:地域別ではアメリカが市場を牽引

 


アメリカ大陸の投資額は前年比269%増の386億米ドルとなり、2019年比でも32%増で、世界全体の60%を占めました。

EMEA(ヨーロッパ、中東、アフリカ)の投資額は前年比60%増の197億米ドルで2019年比35%減となりました。イギリス、ドイツなど主要経済地域でのロックダウンの影響があったものの、世界全体の30%を占めました。

アジア太平洋地域でもコロナ禍での制限や規制は続き、投資額は前年比39%増の85億米ドル、2019年比では40%減となりました。

2022年の世界のホテル投資額は、2021年にみられた市場の進展を受け、2021年比35-40%増になると予想しており、これはピークだった2015年の投資額と同水準となります。

要因としては、プライベートエクイティの手元資金が過去最高水準にあること、中国政府が「三条紅線」を打ち出したことにより、資金繰りに窮したデベロッパーがバランスシート改善のためにノンコア資産(非中核資産)を売却することでホテル売買の波が加速すること、2022年から2025年の間にアメリカ大陸において310億米ドルのホテルローン債務が満期を迎えることなどが挙げられます。

 


4
:人手不足とロイヤリティーの低下



多くのホテルが需要不足ではなく人手不足が理由でフル稼働できない状態に陥りました。正確には業務を熟知したベテランスタッフが不足しており、顧客の期待に答えるサービス水準が維持出来なくなっています。

ホテルの従業員の多くは、低賃金や重労働、育児への不安、燃え尽き感などを理由に業界への復帰を躊躇している側面も挙げられます。2022年に需要回復が加速するにつれてホテル運営会社は、ホテルの質や体験の面でゲストの期待に応えられるように熟練者を意図的に雇用すると同時に、コロナ禍で大きく変わった就労ニーズにも目を配る必要がります。

今後の要員計画を策定するに当たって「従業員が感じる印象・価値」を重視し、従業員・管理職を問わず人材募集・採用・トレーニングに総合的な視点で取り組まなければなりません。こうした努力が従業員の定着率向上につながり、長期的に実を結ぶことになります。

また、賃金率ばかりに重点を置くと短期的に成果を出せても、長期的にみると業績を損なうなどの悪影響が生じる可能性があります。

5:サステナビリティの取組みが不可欠

 


ESG(環境・社会・ガバナンス)が企業理念の域を超えて拡大する中、商業ビルの中でも最もエネルギーや水の使用量が多いホテルにおいても、業界全体によるサステナビリティの取組みが不可欠になっています。

機関投資家は、明確なサステナビリティ対策に取り組む企業に投資を優先する傾向にあります。短期・長期のサステナビリティ目標への取り組みを怠れば、資産価値の低下、運営コストの増加、消費需要の減退につながりかねないことから、サステナビリティも重点項目になります。

 


6
:オルタナティブ・アコモデーションが拡大



コロナ禍は困難な状況をもたらしましたが、オルタナティブ・アコモデーション(多様な宿泊設備施設)事業は、不動産スペースを上手に生かせば利益を上げられることを実証してみせ、実際に各地域で成長を遂げています。

オルタナティブ・アコモデーションとは、ホテルや旅館など従来の宿泊施設に加えて、アパートメント、別荘、ヴィラホームシェアリング、短期賃貸、タイムシェア、ホームステイなどの『多様な宿泊設備施設』を意味しています。旅行者の期待は常に変わり続けており、マーケットニーズに合わせたカタログを揃えることが重要です。

 

 


出展元:https://dutchreview.com/

アジア太平洋地域やEMEAでは、コリビング(シェアハウス式の職住一体型住宅)セクターが著しい伸びを見せており、オルタナティブアコモデーションの中でも人気のセグメントとして台頭しています。


例えば、オランダのFizz Cobana は、仕事で多忙なスケジュールに追われる層を狙い、クッキングスタジオ併設や素晴らしい眺望を売りにしたワークスペースを提供しています。ドイツでは、Quarters がコワーキングスペースや劇場、アウトドアスペースなど交流促進を目的としたさまざまな共用エリアを管理しています。

この新興勢力はフレキシブルなスペースの管理・賃貸を手がけながら、ホテル並みのサービス提供というこだわりを掲げています。投資家がこういった企業に魅力を感じている理由としては、便利なデジタル体験につながるスマートホーム機器やキーレスチェックインなど、革新的なテクノロジーを駆使して運営している点が挙げられます。


2021
年、世界のオルタナティブアコモデーション企業全体の時価総額は82億米ドルに上りました。オルタナティブアコモデーションは、ポートフォリオの多様化とハイリターンをもたらし、アフターコロナの時代に消費者の新たな嗜好に基づく需要に応えるものであり、2022 年も引き続き投資を集めると見込まれています。

 

まとめ


世界的視点で見ればホテル投資は堅調で、投資家はより長期的な視点に立って市場の回復及び更なる成長を見込んでいます。

ポストコロナ期は真っ先に潤うであろう、富裕層向け物件への投資意欲が旺盛で、ビジネス旅行の回復は不透明ですが、ロックダウン疲れからリゾート旅行客はいち早く回復しています。

コロナ期に削減した人材を再獲得する為の競争が始まり、また持続可能な社会への取り組みが重要視されている為、ホテル側もそれに対する取り組みが不可欠になってきています。オルタナティブアコモデーションが拡大し多様な宿泊設備施設が登場しています。

今後は、これらのファクターを十分に理解した上で先手を打てる企業や地域がポストコロナの大きな果実を得る事になりそうです。

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