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大阪国際金融都市構想における現状と課題(実効性のある具体策と高度外国人材のコミュニティ形成)



大阪・関西では、うめきた2期など、新たなイノベーション拠点の開設、大阪市のスーパーシティへの区域指定、2025年大阪関西万博の開催など経済活性化につながる取り組みが行われています。一方「経済の血液」ともいわれる金融機能に関しては、世界的にみて充実した状況であるとは言えません。

政府は、2020年7月の政府の骨太の方針にて、世界・アジアにおける国際金融センターを目指す方針を明記し、世界に開かれた国際金融センターとしての日本の地位を確立することを目指し、諸施策にオールジャパンで取り組んでいます。

こうした背景から、金融分野での先進的な取り組みを通じ、国内外の企業やマネーが集まる都市へと大阪を発展させる大阪国際金融都市構想が動きだしました。

【出展元】
JLL>大阪の国際金融センター実現に向けた取り組みと課題
大阪府>国際金融都市OSAKAの実現に向けた取組み
「国際金融都市OSAKA戦略」策定
大阪「金融都市」、外資誘致に数値目標 戦略決定
文部科学省IB教育推進コンソーシアム

※読者様より情報を頂き記事化しました。ありがとうございました!

 

国際金融都市構想に関する戦略



大阪府・市や経済団体などでつくる「国際金融都市OSAKA推進委員会」は2022年3月25日の総会で、国際金融都市構想に関する戦略を決定しました。

戦略では、22年度に大阪府・市による進出企業への補助制度を導入、23年度から同構想を実現するための新たな推進体制を始動させ、24年度までにユニコーン企業(企業価値10億ドル以上の未上場企業)3社とスタートアップ企業300社を生み出し、25年度までに海外からの金融関連企業30社の誘致を目指す計画を打ち出しました。取り組みは長期に及び金融都市の実現を2050年度に設定しています。

<めざす国際金融都市像>
1:金融をてこにしたグローバル都市
2:金融のフロントランナー都市

 

<戦略の重視すべき視点>
1:地域の発展
2:SDGsの達成に資する

 

<戦略の取組期間>
2022-2025年:始動期
2025-2030年:成長のための活動期
2050年頃を目途:国際金融都市としての地位を確立

 

始動期における具体的な目標


1:国際金融ワンストップサポートセンター大阪への相談件数を2025年度までに100社/年間

2:2025年まで:金融系外国企業(フィンテック企業含む)の誘致を30社

3:2024年度まで:ユニコーン3社、スタートアップ企業300社(うち大学発ベンチャー100社)の創出

 

 

実現性には厳しい側面が垣間見える



現在、大阪では複数の大規模再開発が進んでおり、今後、職・住・遊が充実した街に大きく変貌し、外資系企業や新興企業が大阪に事業所開設を検討する機運が高まることが見込まれます。加えて、戦略の始動期にあたる2025年度は大阪・関西万博の開催年度であり、「未来社会への実験場」を体現する多彩な実証実験が行われ、万博に関連する投資や、大阪発デジタル地域通貨の発行が検討されるなど、国際金融センターの実現を後押しするイベントが控えています。

全般的な見方としては、構想実現に向けた動きやハード的な環境が整いつつある様に見えますが、具体的に掲げられている目標を個々にみると、その実現性には厳しい側面が垣間見えます。

 

課題1:実効性のある具体策



国際金融都市構想は「金融をてこにしたグローバル都市」と「金融のフロントランナー都市」の2つの側面で、大阪・関西の金融機能の拡充を狙うとしています。

しかし、先駆的な金融関連商品群の展開を通じて金融機能を充実させる肝心の「金融のフロントランナー都市」については、具体策を欠いています。

戦略のアクションプランにある・・
1:エッジの効いた先駆的な金融商品については「新たな商品先物の検討」と記載されていますが、何を取引するかは決まっていません。金融商品取引法の対象となる「デリバティブ商品の拡大」については、政府に働きかけを行う、としており何をどうするのかが見えません。

2:サステナブルファイナンス先進都市に向けた取組み、につてはSDGs債の発行支援を、ワークショップの開催等を通じて行い、付加価値を伴った認証ラベリング制度化に向けた「検討を行う」としていますが、その実効性は解りません。

3:金融サービスに関する規制の見直しに向けた働きかけ、についても利用促進や検討の文字が並んでおり、現時点での印象ですが、絵にかいた餅感は否めません。

これは、アクションプランが公開された段階での状況であり、国際金融都市の実現性を真っ向から否定している訳ではありませんが、今後、どこまで戦略に実効性を持たせられるかが構想実現の成否を握っています。

課題2:高度外国人材を受け入れる体制・環境作り



もう一つの重要な課題は、外資系企業、高度外国人材を受け入れる体制・環境作りです。海外で資産運用業等に従事してきた事業者や人材を日本に呼び込むには、ビジネス環境の整備によって日本国内で事業を行いやすくすることが求められます。

海外から外資系企業、高度外国人材を誘致するにあたっては、言語の壁が大きな課題の一つとなります。国際金融センターとしての機能強化を実現するためには、英語による金融行政の手続を可能とするようなサポートが必須です。

金融庁と財務省は、日本に新規参入する海外ファンドの諸手続きを一貫して英語で対応する「拠点開設サポートオフィス」を2021年1月に東京・兜町に新設しました。新規の海外運用会社等の登録・監督等を英語で実施することで、負担の軽減を図る狙いがあります。

大阪でも同様の取り組みとして、国際金融ワンストップサポートセンター大阪が開設されました。構想の戦略目標にある、相談件数(100社/年間)に関しては、政府が取りまとめた省庁・関係機関に横串を刺す総合パッケージ制度には様々なインセンティブがあるために、相応の相談件数が見込まれます。しかし、相談企業の課題を解消することが、現実的には期待しにくい点などが見受けられます。

具体的には、サポートセンター大阪は「創業支援に加え、教育、医療、住居等の生活面についてもワンストップサポート」を行うとされていますが、大阪では高度外国人材の家族向けの教育・居住環境などが不十分な状況にある事です。

 

高度外国人材のコミュニティが形成が鍵



外資系企業の誘致においては、大阪が外国人(高度外国人材)のコミュニティが形成されるような街になれるかどうかが成否の鍵を握っています。その中でも、特に重要と考えられるのは、外国人にとって働きやすく、住みやすい街であるかどうかです。

高度外国人材から「大阪は住みやすい、良い学校があるので安心、仕事も面白い」といった評価が得られるかが鍵です。これらの評価はコミュニティを通じて世界中の同業者に伝播し、都市の評価に直結するからです。

高度外国人材を受け入れるには、その家族の生活基盤が必要になります。具体的には『衣・食・住・学』です。

この中で『衣・食』については、大阪は世界的に見ても高いレベルで問題ないと考えます。『住』については、大阪都心部で再開発が活発化しており、都心居住の観点で見ると質の高いタワーマンションの供給が続いている為、まだ物足りなさはありますが、一定水準はクリアされつつあります。

今後は、外国人にターゲットを絞ったファミリー向け住宅などを整備し、高度外国人材のコミュニティが形成される環境作りが必要です。

 

出展:ハロウインターナショナルスクール安比ジャパン

『学』については、高度外国人材に訴求するような認知度と教育水準の高いインターナショナルスクールの誘致が必要です。2019年4月に、国家戦略特区制度を活用した全国初の公設民営による併設型の中高一貫教育校『大阪府立水都国際中学校・高等学校』が開校するなど、改善する動きが見られますが、国際金融都市を確立する上で必要な人材の家族を受け入れられるか?という視点で見ると、まだまだ不足している状況です。

また、国際バカロレア機構(本部ジュネーブ)が提供する国際的な教育プログラム『国際バカロレア(IB)』の認定を受けたインターナショナルスクールは近畿圏で合計11校、大阪府内は5校となっています。今後は、世界的な知名度がある名門校を大阪に勧誘し、高度外国人材が安心して子供に教育を受けさせる事が出来る環境作りが必須となります。

 

巨大な山に立ち向かう取り組み



企業の本社・資金・情報などが東京に一極集中するという環境のなか、高度金融・テクノロジー人材、格付け機関、弁護士など金融に関わる専門機関や人材などの人的資本やフィンテック企業の不足など、課題を上げるとキリがありません。

しかし、この巨大な『山』に立ち向かうことこそが、国際金融都市OSAKA戦略の目指すところであり、実現のために多くの課題を乗り越えなくてはなりません。

先駆的な金融関連商品群を展開する「金融のフロントランナー都市」を実現する為の実効性のある具体策、それらに従事するプレーヤーを受け入れる、高度外国人材向け住宅やインターナショナルスクールの勧誘など、目先の課題を解決しつつ、取り組みを着実に進め世界中から人・モノ・金があつまる、国際金融都市/大阪を実現してほしいと思いました。

1 COMMENT

LEACH

<戦略の重視すべき視点>
1:地域の発展
2:SDGsの達成に資する

と有りますが、実は世界的にはSDGsと言うモノは余り知られていません。
日本だけがやたらと目に着く感じですが…。

外国人を日本に入れるよりも
日本人を外国に学習させるサポートの方に重きを置くべき。

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