ザ・プリンス 京都宝ヶ池は、京都市左京区宝ヶ池に所在するプリンスホテルが運営する高級ホテルです。1986年開催を目指していた「京都サミット」構想に合わせ建設され、京都宝ヶ池プリンスホテルとして開業しました。
ホテル建物は地上8階建てですが、これはG7の各国が1フロアづつ使用する事を想定していた為です。京都サミットの誘致は実現しませんでしたが、世界の賓客を饗す事を想定した壮大な設備を持ったホテルとなっています。また、巨大な建物ですが、客室を円形にしてホールを地下に配置することで、周辺の自然への影響を最小限に留める計画となっています。
ホテルは2020年にザ・プリンス 京都宝ヶ池にリブランドを実施、マリオット・インターナショナルのオートグラフコレクションに加盟しました。隣接する国立京都国際会館との連携し、グローバルMICEの誘致を進める戦略です。
1986年:京都宝ヶ池プリンスホテル開業
2007年:グランドプリンスホテル京都に改称
2017年:1月~2018年3月にかけて全客室やレストランをリニューアル、クラブラウンジを新設
2020年:10月にザ・プリンス 京都宝ヶ池にリブランド。
マリオット・インターナショナルのオートグラフコレクションに加盟
マリオットの安全基準を満たすための改装を実施
また、ザ・プリンス 京都宝ヶ池は日本建築史に偉大な功績を残した村野藤吾氏の最後の作品で、全体に曲線を用いて周囲の景観に溶け込むようにデザインされています。村野藤吾氏と言えば、同じ京都市内にある、ウェスティン都ホテル京都も同氏の作品ですね。
当初計画の「反対側」にあるメインエントランス
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それではホテルを順番に見てゆきましょう!まずは駐車場側にある車寄せの様子です。当初の設計ではこのあたりがメインエントランスになる計画でしたが、地下鉄駅が反対側に出来たので、現在はサブエントランスとなっています。
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図解するとこんな感じになります。現在のティーラウンジ「水の音」がフロントになる予定でした。当初予定の箇所は、客室階に向かうエレベーターにも最短距離ですね。
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しかし、地下鉄からの利利便性を考えて、駐車場側から見てもう少し進んだ所に現在のメインエントランスがあります。
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ザ・プリンスとAUTOGRAPH COLLECTIONのロゴマーク。オートグラフコレクション加盟ホテルは、現時点で国内に4箇所となっています。
1:ザ・プリンス さくらタワー東京
2:ザ・プリンス 京都宝ヶ池
3:メズム東京
4:TIAD
5:THE OSAKA STATION HOTEL ※2024年夏開業(予定)
レセプション
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正面エントランスを入った所です。
『え?メチャクチャ綺麗ですやん!』古いホテルだと思っていたので思わず声がでてしまいました。
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正面に飾られている「五葉松」のオブジェ。松は不老長寿の象徴とされており、お客様とのご縁を保ち末永くお客様をお出迎えしていくというホテルの思いが込められています。
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正面エントランス付近を横から見た様子です。ガラス越しに見える中庭の庭園が絵画の様に美しい。
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レセプションの様子です。美しく改装されており「ザ・プリンス」に相応しい上品な佇まいです。
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レセプション前にあるソファーの様子です。
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建物が円形なのでちょっと不思議な感じがしました。
客室階に向かうエレベーター
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エレベーターで客室階に向かいます。
こちらの写真は地下2階ですが、地下2階と1階のエレベーターの扉には『マド貝』の装飾があります。
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海外では貝殻の装飾は古臭いと思われているそうですが、リブランドに際して、村野藤吾の意匠をできるだけ残したいというホテル側の熱意が実ったようです。
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エレベーターのボタンも昭和を感じるデザインでした。今となっては逆に凄いですね。
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エレベーターの天井のデザインも凄い・・・。
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客室階に到着しました!大掛かりにリニューアルされており、かなり良い感じだと思いました。
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客室に向かう廊下も絨毯がフカフカしていて気分が上がってきます。
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コートヤード(中庭)を見下ろすとこんな感じです。
クラブハリウッドツイン(39.6㎡)
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そして!こちらが!!
ザ・プリンス京都宝ヶ池の客室です!!!
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クラブフロアは7・8階ですが、8階はイタリアモダンで雰囲気あるシックなデザイン、7階は京都で活躍する作家のアートを随所に配置した和の安らぎを感じるデザインとなっています。
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ベッドはシーリー社のオリジナルベッドで、ベッドサイズは幅1220mm×長さ2080mm。
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ベッドボード付近の様子です。かなりモダンなデザインですね。
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左側のナイトテーブルの様子です。グースネックの読書灯が今どきです。
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右側のナイトテーブルの様子です。
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客室の全景です。窓際にゆとりあるソファが配置され、洛北の自然を感じる景色をノンビリと眺めることができます。
リビングエリア
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リビングエリアを見てゆきましょう!窓際にあるソファの様子です。今回の客室は「森ビュー」で京都市内とは思えない、自然を感じる景色が広がっていました。
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ソファーはかなり大きくてユッタリと寛ぐ事ができました。かなり良いです。
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窓の外に広がる森を見ていると心が癒やされました。繁華街から僅かな時間で、この感覚が味わえる所が凄いです。
サイドボード・ミニバー
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ベッド側からサイドボード側を見た様子です。
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テレビは49インチでまずまずの大きさ。椅子が置かれておりワークデスクを兼ねています。
ミニバーコーナーの様子です。
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湯呑みセットの様子です。
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カプセルタイムのドリップコーヒー。小川珈琲でした。
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お茶やミニボトル、スナック類はこんな感じです。食器類も一通り揃ってます。
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冷蔵庫はこんな感じです。
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衣装棚の様子です。結構な収納スペースがありました。
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パジャマはセパレートタイプ。着心地が良かったです。
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窓側から客室全体を見た様子です。
クローゼット・ウエットエリア
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続いてはクローゼットと、気になるウェットエリアの様子です。
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クローゼットは引き戸。和風なデザインです。
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内部はこんな感じでした。特に過不足はなく十分な容量があります。
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ウェットエリアの様子です。全面鏡張りでかなり広々とした印象です。身支度用のスツールもあって良い感じです。
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洗面台はシングルボウル。かなりの深さがあって使い勝手はとても良いです。
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アメニティはこんな感じでした。
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そして・・・。ザ・プリンス宝ヶ池の最大のウィークポイントが、このバスルーム!
この床の素材、仮設トイレみたいで過去最悪の印象です。
古いホテルなので水回りは最初から諦めていましたが、高級ホテルでこの色、この素材感はないやろ・・。
便器のすぐ近くにバスタブ。お湯を張って入る気にはなれません。シャワーブースとして割り切るのが吉です。ザ・プリンス宝ヶ池には大浴場が無いので、お風呂の快適性は諦めるしかありません。
ネットの口コミを調べると大浴場があったら定宿にするのに・・という意見が散見されました。
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バスタブはこんな感じです。実はバスルーム自体は綺麗に改装されており、照明が超薄暗い白色で、床が仮設トイレ風なだけで、設備としては とても清潔です。
トイレ側の床面を大理石風に張り替えて、照明を薄ら寒い白色から暖色に変えるだけで印象は正反対に変わる事でしょう。
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バスアメニティは、ラヴォアの「yayoi」でした。香りを楽しむ余裕は無し・・。
巨匠・村野藤吾の最晩年の建築
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ザ・プリンス京都宝ヶ池は、村野藤吾氏の最晩年の建築。ドーナツ状のホテルで客室を円形に配置し、コートヤード(中庭)を配置。この地下はG7サミットを想定した大宴会場や会議室があります。
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コートヤード(中庭)にやってきました!この地下にG7サミットを見据えた大宴会場があるとは・・。そう考えると凄いですね。
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エレベータホールや非常階段がある部分。メルヘンな搭屋が目を引きます。
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建物の窓側には植栽が施されており、建物の中から見ると日本庭園の様に見えます。
中庭に建つと洋風に見えるので、その対比が面白いですね。
焚火ラウンジ
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ユニークな円形のホテル棟に囲まれた中庭では、1年を通して週末に「焚火ラウンジ」が開催されています。
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刻一刻と静まる中庭に炎が煌めきを放つ。炎をノンビリと眺めているだけでリラックスできます。
夜に見る「炎」には不思議な安心感があります。
太古の昔、闇夜に迫る獣たちから炎の明かりが人々の身を守ってくれた。そんな太古の記憶が、遺伝子レベルで呼び起こされるのかもしれません。
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派手なイベントではないのですが、ちょっとした気分転換になって、とても良かったです。
クラブラウンジ
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ザ・プリンス京都宝ヶ池の1階にはクラブフロアがあります。
クラブラウンジは下記の宿泊者が利用可能
1:クラブフロア(7、8階)宿泊者
2:プリンスステータスサービス ダイヤモンド・プラチナ
3:Marriott Bonvoy アンバサダー・チタン・プラチナ エリートメンバー
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クラブラウンジは、朝食を除く各時間帯は「45分制」となってます。ちょっと厳し目ですね。
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クラブラウンジのタイムテーブル
・朝食 7:00~10:00 (和洋折衷ブッフェ)※1
・ティータイム 10:00~12:00 13:00~14:00(スナック) ※12:00〜13:00はクローズ
・アフタヌーンティー 14:00.~17:00(スイーツ、パン、スナック)
・カクテルタイム 17:00~19:00(オードブル3種、スナック)
・ナイトキャップ 19:00~21:00(チーズ、スナック)
※ウェルカムドリンクの提供時間は、14:00 〜 17:00 で1人1回
※13歳未満のお子様は17時以降利用不可
※ティータイム以降、食事の用意なし
※カクテルタイムは、オードブル3種とスナック
※1 公式サイトには8/28よりクラブラウンジでの朝食営業を停止 との記述あり。
エリート特典の朝食は継続されますが 朝食会場はラウンジ→いと桜に会場変更になるかもしれません。
ホテルに確認すると、クラブラウンジでの朝食営業中止は検討中で、まだ決定していないとの事です。
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さっそくクラブラウンジに入ってみましょう!
おおっ、広い。メインダイニング的な規模感があ本格的なラウンジです。
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クラブラウンジではウェルカムドリンクとして、金曜日と土曜日であれば、茶道裏千家のお茶の先生が点ててくれた「お茶」をいただく事ができます。提供時間は14:00 〜 17:00 で、1人1回です。今回は時間が合わずにお茶を頂く事はできませんでした。
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クラブラウンジからは三段の滝が見えました。広大な庭園からは、大阪都心部の超高層タワーホテルでは叶わない、昔ながらのシティホテルの威厳の様なものを感じます。
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庭園は長い年月を経て本物の自然を宿した様に見えます。
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夜になるとライトアップされ、違った表情を見せてくれます。この庭園を愛でながらお茶するだけで、ラウンジの価値があると思います。
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ラウンジ奥から窓際を見通した様子です。
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ラウンジの一番奥にブッフェ台があります。
ホテルメイドのスーツが堪能できる「アフタヌーンティ」
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ザプリンス宝ヶ池のクラブラウンジの最大の魅力は
アフタヌーンティのスイーツです!
品数は少ないですがホテルメイドの美味しいケーキ類を心ゆくまで楽しむ事が出来ます。
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スイーツ類はこんな感じでした。どれもメチャ旨ですが、右上の「りんごのシブースト」と左上の「ダブルベリー」が最高でした。
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パン類はこんな感じです。小倉が乗ったパイ生地のパンと、カルネ風のハムパン。
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盛り付けるとこんな感じです。若干「映え」を意識しましたが、今ひとつ「ばえ」ていませんね。
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とりあえずケーキを大量に接種。美味しいから仕方がありません。
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パン類は、真ん中の「カルネ」の様なハム・チーズ入りのパンが美味しい。
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初日にあったミルフィーユ。これもメチャ気に入りました。
カクテルタイム
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カクテルタイムになると、各テーブルにオイルランプが灯されます。
オシャレ!!
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カクテルタイムは本当にお酒のおつまみ程度で、本格的なフードはありませんでした。
朝食
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一夜明けて。再びクラブラウンジを訪れました。和洋折衷の朝食。メインとして京野菜の煮物を中心とした「おばんざい」の2段重、他はブッフェ台からピックアップするスタイルです。お味の方は、感動レベルとまでは行きませんが、そこそこ美味しい感じでした。
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ブッフェ台はこんな感です。正直レベルでお話すると、ラウンジの朝食は品数は少ないくビジホレベルでした。
ただし、2万円半ば〜の宿泊費を考えると妥当なラインだと思います。
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盛り付けるとこんな感になりました。全く「映え」ていませんね。
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ヨーグルトに2色のジャムを添えて頑張りました。
館内見学ツアーに参加!
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ザ・プリンス宝ヶ池では、宿泊者限定で「館内見学ツアー」を開催しています。前日にフロントに参加する旨を伝えて予約し、当日フロント前に集合してツアー開始です。ザ・プリンス宝ヶ池は、ホテル建物を、現代建築の大御所「村野藤吾」の作品として大切にしています。
マニアックなテーマなので参加者は少ないだろう、と思っていましたが、当日は満員御礼で20人程度が集まりました。
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ロビーの柱は元々大理石ですが、大規模改装で木製の装飾パネルが取り付けられました。こちらは取り外して元に戻せるそうです。
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地下階から吹き抜けになっています。柱周りの細かい装飾がヤバいです。
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ホテルが1986年に出来た事や、当時は地下鉄が無く、有名観光スポットもない山の中だった事を考えると規格外の大きさです。
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階段の最終段が中に浮いている様に見えます。三角形の籐の装飾は当時のものを補修しながら使っているそうです。
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エレベータホールです。
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広大な地下空間を見渡した様子です。本当に凄いですね。。
ゴールドルーム
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ゴールドルームは、天井高9メートル、オーバル形が個性的なパーティ会場です。フローリングの床、森林をイメージしたきらめくガラスモザイクの壁面など建築家・村野藤吾の多彩な意匠が随所に散りばめられたアートな空間。繁忙時は朝食会場として利用されています。
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今では、もう作れない、凄まじいデザインの天井。生命の息吹を感じます。
数寄屋造りの“茶寮”
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村野藤吾氏が手掛けた、数寄屋造りの茶寮があります。「茶寮」は会食や披露宴など宴会時に利用されており、普段は立ち入る事はできませんが、今回は館内見学ツアーで特別に見る事が出来ました。
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普段は目にする事がない純和風な空間。貴重な体験が出来ました。
まとめ
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初めて宿泊したザ・プリンス 京都宝ヶ池。まとめると「地下鉄で気軽に行けるリゾートホテル」といった感じで、緑に包まれた周辺環境に癒やされました。
世界的な建築家「村野藤吾」氏の最晩年の作品に泊まれる事に価値がありますが、やはり築年数が古いホテルである事は否めません。全体的に見ると、館内共用部分は綺麗に改装されており非常に美しく申し分ありません。客室も改装されており居室は広くて快適です。ただし、ウエットエリアが狭くトイレと一体化しており、バスルームが厳しい印象でした。
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クラブラウンジは広くて高級感はピカイチです。スイーツ類が美味しいので「アフタヌーンティ」はかなり楽しめました。カクテルタイムはお酒を楽しむ時間であり、フードは「おつまみ」程度なので食事を期待してはいけません。
焚き火ラウンジや館内案内ツアーなど、アクティビティが充実しており、色々気分転換する事ができました。
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今回の宿泊費は、梅雨時の閑散期でしたが約2.6万円でした。この程度の宿泊費なら十分納得できますし、逆にクラブラウンジが充実しているのでお得感はかなり高かったです。バスルームが妥協できれば十分に泊まる価値のあるホテルだと思います。ただし宿泊費が高くなると、ウェスティン都ホテル京都など、他にも有望な選択肢が沢山あるので、他のホテルと見比べつつ、相場感を見る事が重要だと思います。
施設概要
施設名称:ザ・プリンス 京都宝ヶ池旧名称:
開業時 京都宝ヶ池プリンスホテル
2007年~グランドプリンスホテル京都
所在地:〒606-8505 京都府京都市左京区岩倉幡枝町1092-2
交通:京都市営地下鉄烏丸線 国際会館駅より徒歩8分
構造:鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)
階数:地上8階、塔屋2階、地下2階
高さ:
主用途:ホテル、レストラン、宴会場、会議室他
敷地面積:29,238.84㎡
建築面積:7,045.26㎡
延床面積:37,113.86㎡
建築主:西武鉄道
設計者:村野・森建築事務所、設備:竹中工務店
施工者:竹中工務店
着工:1985年01月
竣工:1986年08月
開業:1986年10月
何十年かぶりに、山の上の母校からブラブラ散策してこの界隈まで来ましたが、「モヒカン山」がなくなった?後にすっかり開発されて、地下鉄ができて更に都市化されて、街中と同じになってしまいましたね。洛北の山里のイメージはすっかり消えました。古びた木造の叡電、モーター音が耳に残ってます。