佐賀空港(九州佐賀国際空港)は、佐賀県佐賀市川副町に所在する地方管理空港です。コロナ禍前の2018年度には、国内線:58.9万人、国際線:22.9万人、合計:81.8万人が利用しました。
「佐賀空港」は、アジアに近く九州各地へのアクセスに優れており、めざす将来像は「基幹路線である東京便を中心としながらLCC拠点空港化を進め、九州におけるゲートウェイ空港としての地位を確立すること」としています。福岡空港の代替空港としての機能強化国際線の増便・東南アジア等新規路線の誘致など、更なる発展をめざしています。
東南アジア諸国等との直行便の就航が可能に
佐賀県は、佐賀空港の滑走路を現在の2000mから2500mに延長する検討を進めています。佐賀空港に就航中の国際線航空会社からは、現状2,000m滑走路のため、短い滑走路でも経験豊富なパイロットで運航するなどの特別な対応が必要であることから、2,500m化への早期実現を望まれています。滑走路を延長することで、既存の航空会社による路線展開の自由度が増し東南アジア諸国等との直行便の就航も可能となります。
1998年7月に開港した佐賀空港は利用者数が伸び悩んでいましたが、2011年度にシェアが急増している格安航空会社(LCC)が就航してから利用者が増加。2017年度には開港当初に掲げた73万人の目標を上回り、2018年度は81.8万人に達しました。コロナ禍で国際便が全便運休となり利用者が激減しましたが、今年に入りタイガーエア台湾の台北・桃園便の運航を再開。9月には中国の春秋航空が上海便を、ティーウェイ航空が仁川(ソウル)線の運航を再開するなど需要が急速に回復しています。
福岡空港を補完して需要を取り込む狙い
佐賀空港の滑走路延長は、短距離国際線が安定的に就航できる基本的なスペックに引き上げる計画です。目的は佐賀県の経済振興ですが、隣の県にある福岡空港がオーバーフローしている状況が影響しています。
福岡空港は第二滑走路を建設中で2025年3月頃に完成する予定です。しかし、福岡空港の第二滑走路は第一滑走路に近接して整備されており、同時離発着が出来ないクローズドパラレル配置の為、現状16.4万回/年から18.8万回/年 ~21.1万回/年程度までしか発着回数を増やせません。現在の国際線需要の伸びを考えると、近い将来に再び限界を迎える事が予想されます。
福岡空港の容量不足を根本的に増やすには新空港の建設しかりませんが、現在の所、新空港建設の予定は無く、手詰まりになる可能性が高いです。福岡空港が早晩、再びオーバーフローする事を考えると、佐賀空港や北九州空港を活用して増大する航空需要を受け止めるしかなさそうです。
福岡空港が再び飽和する2035年頃を見据えた計画か?
佐賀空港の滑走路延長の事業化については、必要な国土交通相の変更許可取得が必要で時間がかかります。佐賀県は変更許可を取得し工事に着工しても、滑走路の完成は「今から10年後」になる見通しを示しました。佐賀県は、そのあたりを考えて、このタイミングで滑走路延長計画を進めているのだと思われます。
【出典元】
→九州佐賀国際空港滑走路延長計画 / 九州佐賀国際空港TOP / 佐賀県 (saga.lg.jp)
→福岡市 港湾空港局 >都市問題等調査特別委員会 委員会資料 福岡空港の機能強化等について
→国土交通省 九州地方整備局>福岡空港 滑走路増設事業