出展:RIKEN
理化学研究所は、理研と富士通が共同で開発・整備を進めているスーパーコンピュータ「富岳」が、世界のスーパーコンピュータの性能ランキングであるTOP500、HPCG、HPL-AI、Graph500 において、第2位に大きな差をつけて世界第1位を獲得したと発表しました!TOP500、HPCG、Graph500 で同時に世界1位を獲得するのは世界で初めての快挙との事です。※HPL-AIは2019年11月に新設されたランキングです。
【出展元】
→スーパーコンピュータ「富岳」、4つのスパコンランキングで世界第1位を獲得!
1位 日本「富岳」 415.5PFLOPS
2位:IBM Summit 148.8PFLOPS
3位 IBM Sierra 94.6PFLOPS
4位 中国 Sunway TaihuLight(神威太湖之光) 93PFLOPS
5位 中国 Tianhe-2(天河二号) 61.4PFLOPS
7位 NVIDIA「Selene」27.58PFLOPS
Armアーキテクチャを採用したスパコンが世界一位!
出典:Fujitsu
スパコンの速度競争は近年、汎用のCPUよりも、主に画像処理向け計算に特化した半導体(GPU)の利用が進んでおり、速度ランキング上位にはGPUを多数利用したシステムが名を連ねています。しかし、専用設計のGPUは、使用用途が限られる上、高コストなどの難点があり、「性能は高いが運転が難しく、荷物も積めないスーパーカー」と指摘されてきました。
それに対して「富岳」は、既存のスマートフォン向けCPUに使われているArmアーキテクチャを採用した、富士通開発のCPU「A64FX」を搭載し計算性能と省電力性能を大幅に改良しました。長年培われたソフトウエア技術や資産を活用できるなど使い勝手のメリットは大きく、「運転が容易な普通のセダン」で圧倒的な性能を実現した所に意義があります。
また、富岳の試作品は2019年11月に、消費電力当たりのランキング「Green500」で世界一を一足先に獲得していおり、米国のスパコンメーカーが自社製品への採用を決めるなど、商業面での評価も高まっています。
富岳が生み出す世界
スパコンによるシミュレーションでは、実験や観測が不可能な現象や、費用や設備の面で行いにくい実験を再現できますが、再現の規模や精度は、スパコンの計算性能とアプリケーションに大きく依存します。今後は「富岳」の高い計算性能があって初めて可能になる、大規模・高精度のシミュレーションが計画されています。
一方、近年、観測技術や分析手法の進歩により、従来とは比べものにならないほど大量のデータが得られるようになってきました。これらのビッグデータを解析し、そこから有用な情報を得るには、性能の高いスパコンが必要になります。そこで、「富岳」の演算処理能力がビッグデータの解析に力を発揮します。
現在、こうした大規模シミュレーションやビッグデータ解析を、「富岳」の運用開始後、速やかに開始できるようにするため、アプリケーション開発とシステム開発が協調的に進められています。「富岳」は、日本にとって重要な課題の解決を最優先としつつ、スパコンと計算科学の進歩と普及に貢献することが期待されています。
スパコンランキングの4つの指標
京コンピューター(K computer)
1:TOP500 (最も古い指標)LINPACK(密行列の直接解法)と言われるベンチマークプログラムの性能を競うランキング。1993年からの歴史があり、このランキングで第1位になったスパコンが「世界一のスパコン」と称される場合が多いです。多くの科学技術計算や産業アプリケーションで使用される浮動小数点数の演算能力に焦点をあてており、
「富岳」のスコアは 415.5ペタフロップス(1秒間で40京回以上の計算)。2位のSummit(アメリカ、148.6ペタフロップス)に2.8倍の差をつけました。
出典:TOP500
2:HPCG(High Performance Conjugate Gradient solver) (TOP500を補完)
疎な係数行列から構成される連立一次方程式を解く計算手法である共役勾配法(conjugate gradient method)を用いた新たなベンチマーク・プログラムです。TOP500での性能と実際のアプリケーションを実行したときの性能が乖離しているという問題意識から、自動車や飛行機の空力設計、構造計算などの実際のアプリケーションでよく使われる共役勾配法のプログラムで性能を評価するために提案されました。
「富岳」のスコアは13.4ペタフロップス2位のSummit(2.92ペタフロップス)に4.5倍以上の差をつけての圧勝しました。これは「富岳」の実用性の高さを実証しており、シミュレーションによる社会的課題の解決などへの活用が期待されています。
出典:HPCG
3:Graph500 (CPUに加え、メモリやネットワーク性能を評価)
ビッグデータ解析に使われる、超大規模グラフの探索能力で計算機を評価するベンチマーク。実社会における複雑な現象は、大規模なグラフ(頂点と枝によりデータ間の関連性を示したもの)として表現される場合が多いため、コンピュータによる高速なグラフ解析が必要とされる。このベンチマークで高スコアを出すためには、演算能力だけでなく、メモリ性能、ネットワーク性能が重要となる。
「富岳」のスコアは70,980ギガテップスで、2位の神威・太湖之光(中国、英名は Sunway TaihuLight)の23,756ギガテップスに約3倍の差をつけました。
4:HPL-AI (ディープラーニング用途)
低精度計算を用いることを認めたHPL(High-Performance LINPACK)の性能を計測するベチマークです。近年、GPUや人工知能向けの専用チップで低精度演算(10進数で5桁、もしくは10桁)の演算器を多数搭載し、高性能化をする計算機が多数現れており、ディープラーニングなどのAI処理に使われているが、これらの性能演算性能がTOP500に反映されない問題から、提案されました。間接的に、低精度演算での演算能力を評価することで、ディープラーニングなどのAI処理の性能を評価することを目的としています。
「富岳」のスコアは1.42エクサフロップス*、2位のSummit(0.55エクサフロップス)に2.5倍以上の差をつけ、AIへの適応能力の高さを示した。
「エクサ」は「ペタ」の1000倍。1エクサは100京。
出典:HPL-AI
2位ではダメなんですかといった誰かさんをぎゃふんといわせたのは立派。
このCPU1個を使ったPCを富士通は量産して、できればマザボキットで世に出すべきだと思います。