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【再都市化ナレッジデータベース】

自走型ロープウェイ「Zippar(ジッパー)」が都市内交通を大きく変える!地下鉄と路線バスの隙間を埋める新たな交通インフラへ



Zip Infrastructure株式会社が開発している自走型ロープウェイ「Zippar(ジッパー)」に注目しています。「Zippar」は自走型搬器をベースにした新しい交通インフラで、張り巡らされたワイヤーロープ(ジップライン)を『自走』する新しいタイプのロープウェイです。「安心、安価、即応」をコンセプトとして、従来モノレールと同程度の人員輸送ができるシステムを、1/10の費用、1/10の期間で建設可能です。「Zippar」がなぜ注目の交通インフラなのか?理解して頂く為に、まず都市交通の現状と問題点を簡単に見て行きましょう。

【出展元】
Zip Infrastructure株式会社
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/machizukuri-kankyo/toshiseibi/design/shingikai/bitaisaku/keikan/ks049.files/0056_20190313.pdf
泉陽興業>ゴンドラリフト
交通機関の輸送力比較>京都市における新しい公共交通システムの評価視点

 

1:様々な交通モードが都市をささえている


1日120万人以上を輸送する大阪メトロ御堂筋線

都市には様々な種類の公共交通機関が整備されており、毎日多くの人々を輸送しています。JR、私鉄、地下鉄、路面電車、バス、タクシー、シェアサイクルなどがありますが、最も輸送力が大きい交通機関は鉄道です。中でも地下鉄は都心部での大量輸送に適しており、多くの大都市が路線網を広げてきました。また、都心と郊外を結ぶ高速鉄道は都市の圏域を拡大させ大きな都市圏を生み出しました。

 

 

 

2:高額な建設費と長い建設期間


優れた交通機関である鉄道ですが、現在はその建設費が高騰しており地下鉄では1kmあたり200億~300億円以上が必要で、完成までにおよそ10年の期間を要します。また、大量輸送を前提にしている為に大がかりな設備必要で人口が集中してる大都市でないと事業が成立しません。建設費が高額な事などから、大都市であっても、なかなか整備が進まない状況です。

 

 


AGVのパイオニア、神戸市のポートライナー

この問題を解決する為に、鉄道よりも輸送力が小さく、建設費が安いとの触れ込みでモノレールやAGV(新交通システム)が考案され大都市を中心に整備が行われましたがこちらも大々的に普及が進んでいるとは言えません。思ったよりもコストダウンが出来なかった為です。

鉄道よりも小さく細かい領域は、現在でも路線バスが活躍しています。しかし、専用軌道を持たない路線バスは渋滞に巻き込まれ定時運行率が低く、輸送力が慢性的に不足しています。近年は運転士不足も顕著化しており、莫大な本数で需要を捌く事も難しくなりつつあります。そのため鉄道とバスの隙間を埋める、新たな交通機関が求められています。

都市内交通網の整備に関する問題点

・鉄道は建設費が高額
・大がかりな施設
・建設費が高い為、大きな需要がないと事業が成立しない
・施設が大がかりなので完成まで長い時間を要する
・鉄道未満、バス以上の領域を狙ったモノレールやAGVも高コストで普及していない
・その為、鉄道未満の領域は今もバスが主役
・働き方改革や少子化の影響からバスの運転士不足が顕著化
・その為、現在の様なバスのピストン運行は何れ出来なくなる

 

3:コスト十分の一の新しい交通インフラ


横浜で建設中の都市型ロープウエイ。ゴンドラをロープに取り付ける従来型でカーブや分岐に対応出来ない

そこで高速鉄道と路線バスの隙間の領域をカバーする新たな交通期間として、近年『都市型ロープウエイ』に注目が集まっています。ロープウェイは観光用のイメージが強いですが、実は都市内で展開すると優れた交通機関に変身します。必要な主な設備は、ロープを吊す「鉄塔」、乗客が乗り降りする「停留所」、そして乗客を運ぶ「ゴンドラ」です。

鉄道では高架橋やトンネル等の【軌道】が必要になりますが、ロープウェイでは鉄塔とロープがその役割を担います。鉄塔は設置面積が小さく済み、設置箇所も数百mに1つでOKです。また、既存の道路上に設置出来れば新規の土地取得が限りなく少なく済みます。

デメリットとしては、都市景観に悪影響を及ぼす可能性、ゴンドラや部品などの落下事故による地上への影響、高層建築物に対するプライバシーの問題等があります。

 

都市型ロープウェイが注目される理由



都市型ロープウェイは、鉄道に比べると構造が簡単で用地買収が少なく済む事から、建設費が安く短期間で整備する事が出来ます。ロープウェイは鉄道に比べ1/8~1/10程度の費用と期間で建設可能と言われています。

ロープウェイの速度は、秒速5~8m(時速18~30km弱)ですが、バスのように渋滞や交差点停車による遅れがないので表定速度は路線バスよりも高速です。乗車時間は地下鉄より長くなりますが、地上と行き来するアクセス時間と待ち時間を加えて考えると、地下鉄よりも素早く移動できます。

輸送力はゴンドラの大きさと運行間隔にもよりますが、仮に定員10人のゴンドラを12秒に運行すると3,000人/時の輸送力となります。ちなみに、80 人/両のガイドウェイバスを1 分 30 秒間隔で運行した場合、輸送力は3,200 人/時です。都市型ロープウェイは、大型バスを断続的にピストン運行するのと同じぐらいの利用者を運ぶ事が出来ます。都市型ロープウェイは1km~5km程度の距離をバスよりも高速に結び、安価で短期間で建設可能な事から、新たな都市内輸送機関として有望な選択肢と言えます。

 

横浜に日本初の都市型ロープウェイ、「YOKOHAMA AIR CABIN(ヨコハマ・エア・キャビン)」が本格着工!2021年3月開業予定



 

 

 

4:自走式「Zippar」都市型ロープウェイの可能性を更に広げる

 

新たな都市内交通機関として注目が集まっているロープウェイですが弱点があります。それはワイヤーロープにゴンドラを取り付けているので分岐が出来ない、その為に網の目の様なネットワークを形成する事が難しい、常に稼働させなければ成らないので輸送力の調整が出来ない等です。

そこで登場するのが自走型ロープウェイ「Zippar」です。「Zippar」は、自走型搬器をベースにした新しい交通インフラで、バッテリー電源を備えた自走システムを備えており、張り巡らさせたロープ(ジップライン)を自走する事が出来ます。また、カーブや分岐を設定する事が可能で便利なネットワークを構築する事が出来ます。

【出展元】
Zip Infrastructure株式会社

 

 


「Zippar」のゴンドラは軽量でシンプルな構造で、乗車人数や用途によってフレキシブルに設計可能です。バッテリー電源の自走システムを備えており、カーブや分岐も可能です。自動運転による安全性と利便性を提供します。

 

 

 



ラインは簡単に施工でき用地も最小限で済む事から、建設費はおよそ10億円/kmで、施工期間と費用は鉄道の十分の一です。カーブや分岐も可能である為、便利なネットワークを構築出来ます。物資運搬、災害救助、テーマパークのアトラクションなど用途は様々です。

 

5:ラストワンマイルの領域をカバーする

 


出展:大阪府>駅勢圏の状況 

従来型の鉄道に比べて1/10の費用、1/10の期間で建設可能な「Zippar」を使えば、高速鉄道の駅勢圏から外れたエリアにネットワークを構築する事が可能になります。駅勢圏とは駅を中心としてその駅を利用すると期待され需要が存在する範囲のことで、駅から徒歩10分(約800m)や1km圏内を指す事が多いです。

自動運転化された自走式ロープウェイ「Zippar」が、従来はバスに頼っていた高速鉄道からのフィーダー輸送の品質を大幅に向上し、ラストワンマイルの領域の利便性を格段に向上させ、都市の構造を変える可能性を秘めています。

たとえば、郊外ニュータウンの急行停車駅と丘の上のニュータウンを結ぶ「Zippar」タウンラインや、駅から大規模なキャンパスを持つ大学内を結ぶ「Zippar」キャンパスライン、都心部でも地下鉄駅から遠いエリアを結ぶ、「Zippar」シティラインなど、従来の鉄道ではカバー出来ない領域の利便性を向上させる事が出来そうです。

 

 

 

この様に都市交通に新しい可能性をもたらす「Zippar」ですが、これは空想の中の話ではなく、実現に向けて着実に前に進んでいるプロジェクトです。現在、2020年はプロトタイプでの実験が行われており、2022年には都市部で実証実験を開始、2025年の大阪万博の会場交通システムを目指す構想です。都市型ロープウェイが普及した未来都市は、現在の街並みとはかなり違った姿をしているかもしれませんね。

 

 

6 COMMENTS

摂津国人

自走式ロープウェーは初めて耳にする交通機関です。
ロープウェーというよりは、懸垂型の小型モノレール(モノロープ?)と考えると理解しやすいように感じました。

GNS

福岡も造るならこういった物になっていたでしょうが、議会の理解力が無くて
残念です。

新大阪駅=十三駅=塚本駅=淀川駅=伝法駅=USJ北側=夢洲=万博会場
というルートは、夢物語ですね。

大阪淀屋

万博の交通アクセスが大問題であり、会場内の輸送に使うだけでなく、会場への輸送に使えば良い。
桜島から舞洲、夢洲のルートに建設できないのか。
JRの夢洲乗り入れは未決定であり、建設が決まってもまだ先となる。それまでの交通手段とすれば良い。南港からの地下鉄も45%程度の能力で、55%はバス輸送と無謀な計画であるが、ジッパーを使えば、40%以下に下げられる。
問題は距離と海上部分かもしれないが。

Anonymous

面白い取り組みですね。
鉄道に比べると地形の制約を受けにくいので、街と山間の集落をつなぐ手段にも使えるかもしれません。
私の某田舎も市の端っこに駅があり、利便性を向上させるためにLRT構想が上がって立ち消えになりましたが、この方法なら実現まで至ったかもしれません(笑)

某京都府民

従来型ロープウェーについてですが、時速18~30km弱の移動速度ならば降りるのが大変だと思ってしまうのですが、実際のところどうなのでしょうか。例えば山登りなどに使う2台しか動かないロープウェーならば降車時のみ移動速度を落とせばいいだと思いますが、都市型のように台数を増やす場合はどうなのでしょうか。

自走式ロープウェーは面白いですが、安全面が課題になりそうですね。速度が遅いとはいえ、特に頻発運転する場合には前方のゴンドラに衝突しないように万全を期す必要がありますね。車の自動運転よりは難易度は低いと思いますが、やはり公共交通機関は社会的に求められる安全性の水準が非常に高いですから。

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