熊本空港アクセス鉄道は、JR豊肥線三里木駅~熊本空港(阿蘇くまもと空港)を結ぶ鉄道新線計画です。熊本空港は、熊本市中心部から直線距離で約15kmの位置にありますが、現在はリムジンバスが主なアクセス手段となっており、桜町バスターミナルまで約50分、熊本駅まで60分ほどかかります。県は空港アクセスを改善する為、アクセス鉄道の建設を検討しており、2019年2月21日には、JR九州と基本合意した事を発表しました。実現すれば、熊本駅~熊本空港間が約39分で結ばれます。
【出展元】
→空港アクセス鉄道の実現に向けて
→空港アクセス鉄道の検討に係る調査について(令和2年度検討結果)
整備ルートについて
アクセス鉄道のルートはJR豊肥線三里木駅から分岐し、熊本県民総合運動公園を経由し熊本空港に至る約9kmです。途中、運動公園付近に中間駅を新設します。2019年度の調査では、A1、A2、B、Cの4つのルート案が示されていました。
最短ルートのB案を軸に調査を実施
熊本県は2021年6月28日に、熊本空港アクセス鉄道計画の新たな調査結果を、県議会高速交通ネットワーク整備推進特別委員会に示しました。今回の試算は、これまで示してきた4ルート案のうち、国道57号沿線の市街地を地下トンネルで通過し、県民総合運動公園付近に中間駅を設置する最短ルートの「B案」に絞って試算が行われました。県は、今回の調査結果に示した最短ルートをアクセス鉄道計画の基本に据える方針です。整備距離は全長8.8~9.0km、所要時間は三里木駅-中間駅が4.2分、中間駅-空港駅が5分、豊肥線を乗り継いだ熊本駅-空港駅を39分と見込んで居ます。
トンネル工法の見直しなどで、総事業費は前回調査から24億円少ない435億円(税別)と見込みました。一方で、建設期間は工法の見直しなどによって、当初の計画より2年延びて8年となり、開業は最短で2033年度末となる見通しを示しました。駅部の構造と運行本数
アクセス鉄道の各駅構造ですが、起点駅は現状維持を前提に「地平駅」とし、乗換え利便性を考慮した「島式ホーム」となります。対面乗換を踏まえ、新しいホームを新設し既設ホームとの間に空港アクセス線を配線します。新たに整備する中間駅及び終点駅は「高架駅」で、県民総合運動公園に近く突発的な利用者の増加が想定されるため 「相対式ホーム」となります。終点駅は、空港ターミナルビルとの接続を考慮し、「櫛形ホーム」となります。
想定される運行本数は、現行の豊肥本線運行列車との接続パターンに基づき検討した結果、可能な運行本数は片方向あたり49本/日となりました。朝5時台から翌24時台までの20時間での 1時間あたりの平均運行本数は2.5本/時となります。
事業採算性について
空港アクセス鉄道のイメージ。写真は仙台空港駅。
事業の収益性については、2033年度末に開業し、運行本数を1時間に2.5本、三里木駅-空港駅の運賃を片道420円と想定。運賃や乗り換えの負担感などを考慮し、利用者数を昨年6月に公表した1日7500人から5千人に下方修正した結果、累積収支の黒字転換は従来の「開業2年目」から「開業33年目」へと大幅に遅れる見通しとなりました。収支予測は、国と県が補助率を事業費の3分の1まで引き上げ、豊肥線でアクセス鉄道とつながるJR九州も最大3分の1を資金拠出する前提でシミュレーションされました。しかし、現状の国と県の補助率はそれぞれ18%が上限となっており、JR九州の負担を加えても、事業主体となる第三セクターは開業40年後までに黒字化できないとの事です。
事業効果を金額に換算し、投資額で割った「費用便益比」は30年間で1.04となり、国の予算化の目安となる1を上回りました。県は、建設投資などが発生する整備段階で632億円、開業後も企業誘致などを念頭に毎年990億円の経済波及効果が見込まれると試算しています。
空港アクセスの面から言えばそのまま豊肥本線に直通させるのがベターですが、単線で毎時2~3本運行している状況だとやはり難しいところですかねえ
豊肥本線の複線化も期待したいです