【再都市化ナレッジデータベース】←新規情報やタレコミはこちらのコメント欄にお願いします!

米マイクロンが広島工場に最大5000億円投資!政府から2000億円の支援を受け1γ(1ガンマ)ノードによる次世代DRAMの生産を目指す


(Image credit: Micron)
米メモリーチップ大手のマイクロン・テクノロジーは、日本政府から支援を受け、同社広島工場で次世代DRAMの生産を目指します。

マイクロンテクノロジーは2023年5月18日付けのニュースリリースで、広島工場で1γ(1ガンマ)ノードによる次世代DRAMの製造を行うと発表しました。日本政府による支援を前提に、今後数年で1γプロセス技術に最大5,000億円を投資し、急速に台頭している生成系AI(人工知能)アプリケーションなどの需要に対応します。Bloombergは、政府が2000億円を支援すると報じました。

生産するのは1γ(1ガンマ)ノードによる次世代DRAMです。日本で初めて量産にEUV(極端紫外線リソグラフィ)技術を導入し、2024年までの量産開始を目指しています。広島工場は、マイクロンによる1γ世代のDRAM量産全体の約3分の1を担う予定です。

【出展元】
マイクロン、日本にEUV技術を導入し、次世代メモリの製造を推進
→日経新聞>マイクロンCEO「日本の先端半導体工場に5000億円」半導体
→Bloomberg>マイクロン広島工場に2000億円政府支援、次世代DRAM-関係者

 半導体デバイスの種類


※経済産業省「世界の半導体市場と主要なプレイヤー」より

半導体デバイスには種類があり、大雑把に説明すると、演算処理を行う『ロジックIC』、データを記憶する『メモリーIC』、用途に特化した『その他の半導体』に別けられます。この内、データを記憶する『メモリーIC』は、速度が速く演算に必要なデーターを一次的に記憶する『DRAM』と、電源供給がなくてもデータを保持できる『フラッシュメモリ(NAND型など)』に分かれます。マイクロン広島工場は『DRAM』を製造します。


半導体デバイスの種類

1:ロジックIC(CPU,DSP)演算処理を行う
2:メモリーIC(DRAM,NAND)
3:その他「CMOSセンサー」「パワー半導体」「アナログ半導体」など


(Image credit: Micron)

マイクロンは主に300mmウェハーを用いて製造しており、微細化・3D化を進めるなか生産効率が向上。DRAMでは22年度に1α(アルファ)nm世代製品、23年度に最1β(ベータ)nm世代製品の製造を開始。24年度には1γ(ガンマ)nm世代製品の量産を目指しています。

 

マイクロン・テクノロジーとは?


(Image credit: Micron)

マイクロン・テクノロジーは、米国・アイダホ州ボイシ市に本社を置く、半導体製造メーカーです。サーバーやパソコン、スマホ、産業機器などで使用されるDRAMやフラッシュメモリー(NAND型、NOR型)を開発・製造しています。米国、中国、日本、マレーシア、シンガポール、台湾など世界で13ヵ所生産拠点を構える多国籍企業で、2013年に経営破綻していた日本のエルピーダメモリを買収しました。

 


(Image credit: Micron)

コンシューマー向けに「Crucial(クルーシャル)」「Crucial Ballistix(バリスティックス)」、企業向けに「Micron(マイクロン)」ブランドを展開しています。2022年9月期の売上は30,758百万ドル、製品別の売上構成は、DRAMが約73%、NANDが約25%。主力製品のDRAMの世界シェアは22.2%で業界3位となっています。


2021年DRAMメーカーの市場シェア
1位 サムスン電子 45.3%
2位 SKハイニックス 28.5%
3位 マイクロン 22.2%


広島工場の特徴は「開発・量産」が同じ拠点にある

(Image credit: Micron)

エルピーダメモリ買収に伴い取得した広島工場は同社にとって最重要拠点の一つです。広島工場の特徴は研究開発(R&D)機能を備えている点です。「プロセス開発部門」と「量産部門」が同じ拠点にる為、開発から量産までをスピーディに進める事ができます。開発拠点から量産拠点にプロセス技術を移管するときに生じるさまざまなリスクを回避し、量産の立ち上げを著しく円滑化した点が画期的です。今後もさらなる微細化に向けた研究開発の最先端を担うことが期待されています。

 

半導体サプライチェーンを強靭化

 


Credit: DIGITIMES

日本政府はこれまで数千億円を投じてTSMC工場を熊本県に誘致し、米IBMと技術提携を結んで最先端半導体部品の量産目指すラピダスの設立支援を決定しました。昨年マイクロンにも現行最先端となる1β(ベータ)世代の製品の広島での量産のために465億円を助成しました。

日本において半導体サプライチェーン再強化の動きが加速するのは、主要7カ国(G7)の意向に沿った動きに沿ったもので、中国による最先端半導体部品の軍事転用や台湾有事へのリスクが懸念される中、米国などはこれまで台湾に集中していた最先端半導体生産体制の分散を急いでいる為です。

マイクロンは日本国内に5つの拠点を持ち、2013年以降130億ドル(約1兆7500億円)以上の投資を行ってきました。半導体産業の復興を目指す日本にとって、今回のマイクロンによる投資決定は大きな意味があります。国内で最先端半導体関連の研究や量産体制が整えられるのは、日本のサプライヤーなどが国際的に競争力を維持・強化させていくのに有利に働きます。

あわせて読みたい

ソニーが熊本県内に新工場建設を検討!約8000億円を投じて画像センサーの生産能力を増強しシェア拡大を図る戦略、TSMC熊本工場と連携



TSMC、熊本で第2工場建設検討?米『CHIPS法』中国ガードレール条項が要因か?相次ぐ半導体工場への巨大投資の深層を読み解く



TSMC熊本工場 JASM(tsmc Fab23)熊本県菊陽町の約21.3haの敷地に約1.1兆円投資、経済効果は約4.29兆円、鹿島建設が施工、建設工事の最新状況 23.04 【2024年12月出荷開始】

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です