南海電気鉄道を中核とする南海グループは、2025年度から2027年度を対象とした新たな中期経営計画「NANKAIグループ中期経営計画2025—2027」を公表しました。創業140周年という節目を迎えるなかで、今回の計画では「関西のゲートウェイとしての進化と持続的成長の実現」を基本方針に掲げ、鉄道、不動産、観光、流通の各領域で事業構造の質的転換を図る方針です。
社名変更と分社化で迅速な経営体制へ

南海グループは、経営の俊敏性と専門性を高めるため、2025年4月1日をもって持株会社体制へと移行します。新たな持株会社の社名はローマ字表記の「NANKAI株式会社」となり、鉄道事業は分社化された「南海電気鉄道株式会社」が継承します。グローバル対応を意識した名称変更でありながら、「南海ブランド」の伝統と信頼を維持・発展させる狙いが込められています。
鉄道車両の更新と観光特急の投入

鉄道部門では、老朽化が進む特急「サザン」の10000系車両を、2027年度末以降に順次新型車両へと置き換える計画です。また、高野線においては「世界遺産・高野山となんばを結ぶ」新たな観光特急の導入を2026年春に予定しており、4両編成・車内食事サービスなど、観光需要の高度化に対応した仕様となります。
さらに、2025年度から2027年度までの3年間で新型車両を合計40両導入予定。2025年度に12両、2026年度に12両、2027年度に16両を投入し、インバウンドを含む多様な利用者ニーズに応える輸送体制を整備します。あわせて、高師浜線では自動運転(GOA2.5レベル)を2027年度に導入予定であり、ワンマン運転の拡大に向けたホーム設備等の改良も進められています。泉北高速鉄道との連携強化も、今後のシナジー創出に向けた鍵となります。
なにわ筋線で「新大阪〜なんば」直結へ

関西の鉄道ネットワークにおいて注目を集めている「なにわ筋線」についても、計画は着実に進行しています。同線の整備により、「新大阪〜なんば」間のダイレクトアクセスが可能となり、南海なんば駅の広域交通結節点としての機能が一層強化されます。これにより関西国際空港へのアクセス利便性が向上し、インバウンド需要のさらなる獲得が期待されます。
不動産・観光・流通の各事業でも攻勢

不動産分野では、「なんば」「堺東」「泉北」など沿線拠点での再開発や遊休地の利活用を推進し、収益性の高い物件の拡充と沿線価値の向上を図ります。加えて、観光・ホテル事業では着地型観光の強化や宿泊施設のリニューアルを通じて、訪日外国人観光客への対応力を高めていく方針です。
流通分野では、基幹商業施設「なんばスカイオ」などの改修をはじめ、外部施設の運営受託にも注力。従来の収益構造に加え、新たな事業フィールドの開拓を目指すことで、安定的かつ多角的な成長を目指します。
回遊性の高い都心へ「グレーターなんば構想」

都市開発の目玉として掲げられているのが「グレーターなんば構想」です。「なんば〜新今宮〜新世界」エリアを一体的に再構築し、回遊性の高いにぎわい空間を創出するこの構想では、新今宮駅高架下の商業開発、通天閣周辺の再整備、なんば広場やなんさん通りにおける歩行者空間の拡張など、エリア全体の魅力を底上げする取り組みが展開されます。
2025年の大阪・関西万博、さらには2030年代前半に開業が見込まれる統合型リゾート(IR)を視野に入れ、交流人口の拡大と沿線定住人口の増加を両輪で推進します。
投資計画と数値目標

本計画では、3年間で総額約3,500億円の投資を見込んでおり、内訳は不動産事業に最大1,750億円、公共交通事業に最大1,300億円(うち鉄道が約1,000億円、バスが約200億円、なにわ筋線が約100億円)、安全・老朽更新関連に最大380億円とされています。
これにより、2027年度には連結売上高2,100億円、営業利益160億円、ROA2.7%、自己資本比率30%以上の達成を目指します。持続可能な成長と財務基盤の強化を両立する意欲的な数値目標が掲げられています。
「経営ビジョン2027」との連動と未来志向

今回の中期経営計画は、南海グループが掲げる「経営ビジョン2027」の最終ステージにあたるものであり、「出かける場所」としての沿線価値を高めることで交流人口を増加させ、最終的には定住人口の増加につなげる戦略と接続しています。
南海グループは「満足と感動を提供する企業グループ」として、関西の地で140年にわたって築いてきた信頼と実績を礎に、次の時代に向けてさらに大きな飛躍を遂げることを目指しています。公共交通、不動産、観光、流通といった多岐にわたる事業の連携を通じて、沿線と共に成長する持続可能な地域経済の牽引役を担う存在となることが期待されます。
南海と言えば、沖縄などを連想しますが、南海電鉄の社名は旧行政区域の南海道(紀伊、淡路、四国)に由来します。大阪と南海道の一部の和歌山を結ぶ鉄道だからです。四国連絡船もだしています。
山陽電鉄も山陽道の一部の播磨と摂津の神戸を結ぶ鉄道だからです。
京都・大阪から見て南が南海道、北が北陸道(または北国)、東が東海道、東山道、西が山陽道、山陰道です。これは会社名などに今も生きています。東海テレビや山陽放送などです。
日本の首都を名乗る東京から見たら、南海電鉄、南海放送(松山市)や、金沢にある北国銀行、北国新聞、という社名は理解できないでしょう。東京から西へ行くのに乗る鉄道が「東海道新幹線」というのも面白いです。
明治に無理やり、東京を首都にして日本の地名にゆがみができました。
京都へ行く「上京」という言葉を、東海道を東へ下る(東京行き)意味に使いだしたのは、けしからんことです。