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旧奈良監獄(奈良少年刑務所)は1908年(明治41年)に造られた「五大監獄」の一つで、「五大監獄」(千葉、金沢、奈良、諫早、鹿児島)で唯一、現存する貴重な近代建築物です。赤れんが造りと看守所から放射状に延びる収容棟が特徴で、2017年02月に国の重要文化財に指定されました。
旧奈良監獄は、先日「日本初の監獄ホテルが誕生!」のトッピクスで話題を集めました。法務省は運営権を8月にホテル運営のソラーレホテルズアンドリゾーツ、清水建設など8社のコンソーシアムに売却する予定で、今後はホテルを中心とした集客施設としてリノベーションされる事が決まっています。
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レポート3回目の今回が最終回です。今回は、調度品、壁、その他目に止まったモノをご紹介して行きたいと思います。まずはこちらの独房のドアノブと鍵。長い年月使い込まれた鍵から歴史を感じる事が出来ました。
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こちらは受刑者に食事を受け渡しする配膳口。長い年月を経て開口部が削り取られています。
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毒母のドアを止める蝶番。おそらく何度も補修されていますが、こちらも凄かった・・。
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少し解りにくいですが、独房のドアの横にあるネームプレート・ホルダーです。
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独房から見た外の世界・・・・。
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今回の発券はこのスイッチ。シャープの前進、早川電機工業の文字が刻まれた貴重なアイテムです。
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こちらは別のドアの監視窓の様子です。
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寮の2階から見た、1階廊下の床面。ピカピカで角が取れた石材は凄いの一言。これは歴史を刻まないと出せない風合いです。
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撮影ポイントを変えて。こちらは狂操館。精神的に不安定になった人を一時的に収容する為の施設です。一般居室棟から話す事で、精神的に不安定な人が発する騒音や大声の影響が一般受刑者に影響を及ぼす事を防ぐために設置されました。
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反対側から見た狂操館の様子です。
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狂操館の内部です。
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さらに驚いたのがこの「ギス館」。こちらは江戸時代の牢獄がそのまま保存されているそうです。ギス館はギリギリスのカゴの様な形がその名前の由来になっているそうで、このほとんど野ざらしの狭いギス館に3〜4名が閉じ込められ、トイレもこの中にあったそうです。江戸時代のギス館に比べると、旧奈良監獄の居室が如何に先進的で、人権に配慮した施設であった事を対比する為の資料として保存されています。
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続いてはシャバと監獄を隔てる壁の様子です。壁の向こうに見える小奇麗な住宅との対比が凄かった。
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壁の一部も重要文化財指定建物及び工作物に指定されてます。
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煉瓦造りの重厚壁は近くで見ると圧倒的な存在感です。
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3回に渡ってお届けした旧奈良監獄(奈良少年刑務所)の改装前の最後の一般見学会のレポート如何だったでしょうか。まず見学会自体は炎天下の中、多くの人が長蛇の列を作り混雑した事から、この旧奈良監獄への関心の高さを思い知りました。SNSで拡散された事、一般向けにもTVや新聞で取り上げられた事なども大きかったのではないでしょうか。読者の方にも見学会に参加された方が居られたと思います、ほんとにお疲れ様でした!
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【出典元】
→旧奈良監獄の保存及び活用に係る公共施設等運営事業について
今後、旧奈良監獄は以前のニュース記事でお伝えした通り、重要文化財指定建物及び工作物を中心にリノベーションが行われ、ホテル、温浴施設、博物館からなる集客施設に生まれ変わります。「監獄ホテル」のキャッチーな呼称が注目されますが、旧奈良監獄は近代建築物として見ると、規模の大きさや保存状態があまりにも良く凄い価値があると思いました。さらにこの建物はごく最近まで実用されていた「生きた建築物」です。リノベーション後の新施設がどのような出来栄えで再登場するのか?若干不安でもあり、楽しみでもあります。旧奈良監獄が形を変えながらも、これからも生き続ける事は、近代建築物の保存・活用の観点からみても素晴らしい事ではないでしょうか。今回の見学会を終えて、そんな事を思いました。
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見学お疲れ様でした。
私も行きましたが、昼からだったので炎天下1時間待ちでした。
しかし、1時間待って行くだけの価値はあったと思いましたね。
ベテラン刑務官の方に聞いたところ、狂操館は着任したとき既に使われておらず、
最初の頃だけ使われていたのではないかとのことでした。
取り壊しされず今日まで残っていたのは良かったですね。
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いつも楽しく見ておりますが、誤字・脱字が多すぎるように思います。公開する前に確認されているのでしょうか?