関西国際空港-旅客ターミナルビル(PTB)は国際コンペで選出されたイタリア人建築家、レンゾ・ピアノ氏によってデザインされ建築学的に世界的に高い評価を受けています。
PTBはメインターミナルビルを中心に南北1.7kmにわたってウィングが伸びる構造で、その優美なデザインはまるで大きな鳥が羽を休めたかの様と評されます。写真に写っている赤い新交通システムはウィングシャトル。南北それぞれ中間駅をはさんで先端まで運行されています。
4階レベルは団体バス、リムジンバス、タクシーの降り場になっています。写真奥に見える高い等は管制塔。右に見えるガラスは鉄道駅の採光窓です。
リムジンバスの到着エリア周辺。青空と白い屋根がスカッとした印象を与えています。
関西国際空港の印象を決定づける巨大な吹き抜け空間「キャニオン」。ダイナミックな空間演出と合わせて、エスカレータやエレベータなど上下の導線が集中的に配置され、自分が今どのレベル(階)にいるのか?が直感的に解る様になっています。
青色の巨大なパイプは空調のダクトです。構造部材と共に空調などの設備機械を内部空間に露出させメカニカルなデザインのエレメントとして利用されています。
オブジェの様に見える空調の吹き出し口。ズラリとならんだ姿が壮観です。
天井に取り付けられたテフロンの幕はオープンエアダクト。吹き出し口からの風を館内全体に導く役割を果たして居ます。さらに下からライトアップされ間接照明の役目も果たしています。
国際線出発エリアの様子です。天井から吊るされた「フライング・モビール」が空調の風を受けて常にゆったりと揺らめいています。堅さと柔らかさが共存する不思議な空間。
あえてむき出しにされている鉄骨トラス。
関西国際空港の旅客導線の基本計画は「「サンドイッチコンセプト」と呼ばれています。これは「国内線」を国際線の「出発」と「到着」で挟み込む事で、国際線から国内線、国内線から国際線、いずれであってもターミナルビルを延々と水平移動する事無く、ワンフロア上がるだけで乗り換えを可能にするという物です。さらにターミナルビルと並行におかれた鉄道駅の改札階と国内線フロアは同一レベルなので国内線の到着、出発はフロア間の移動も必要ありません。関西国際空港は際内乗り継ぎハブになる為に考え抜かれ作られた空港なのです。
PTB本館、国内線フロアの北側にはツタヤとローソンがオープンしていました。ツヤタはセル中心。
ターミナルで見つけた「ぼくは航空管制官」とタイアップしたフライト案内。関空付近を実際に飛行中の飛行機が画面上に3D表示されます。けっこう面白い。
さらに目についたのが公衆インターネット端末です。100円で10分?程度インターネットが利用出来ます。メールチェックやホテルの予約、時刻表検索などに利用出来そうです。
最後は1階レベルからキャニオンを見上げました。谷底であっても真上に設けられた天窓から自然光が降り注ぎ柔らかな光に包まれています。
2001年、アメリカ土木学会(ASCE)は「水路」「空港」「鉄道」「ダム」「長大橋」「高層ビル」「下水道」「廃棄物処理システム」の10部門それぞれに「モニュメント・オブ・ザ・ミレニアム」として、20世紀に実現されたプロジェクトのうち、突出して優れたPJを選定しました。パナマ運河、英仏海峡トンネル、フーバーダム、ゴールデンゲートブリッジ、エンパイアステートビルなどと共に関西国際空港が「モニュメント・オブ・ザ・ミレニアム」に選出されました。崇高なデザイン意匠と世界レベルの高い技術力に裏付けされた関西国際空港。開港後15年以上が経過してもなお、世界で最も美しい空港建築ではないでしょうか。
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>JUNK さま。
そうですね。ウイングは巨大な円を描いていて、確か直径32,8kmの円の一部になるそうです。これほど贅沢な建物は今ではもう作れないかもしれませんね。
>アイラブオオサカ さま。
ストの件、まだ続いているんですか。。根深い問題なので軽率な発言は出来ませんが、なんとか落としどころを見つけてプロジェクトへの影響を最小限にとどめて欲しいと思います。
>愛阪者 さま。
シンガポールで話題のビルと言えば、マリーナ・ベイ・サンズですね。高さ200mのトリプルタワーの屋上に豪華客船を模した空中庭園を載せた、巨大なビルです。これはカジノとセットで南港に是非作って欲しいですよね。
>京阪人 さま。
はい。1期空港島の地盤沈下は初年度?5年目までは予想を上回る沈下量で心配されましたが、その後はドンドン沈下量が少なくなり、ココ2年は年7cmで推移しているそうです。ですので当初心配された事態はさけられた、と言う事だと思います。
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そういえば、関空の地盤沈下の問題最近聞かないですね。
この対策費が莫大で、中々、発着料金を下げられないと一時期話題になりましたが。
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こちらも関係のない話題で恐縮ですが
「超高層ビル情報」さんによると
シンガポールに度肝を抜かれるようなとてつもないビルが建ちましたね。
あそこまで大胆なデザインを、アイデアだけではなく、実際に建ててしまうところは本当に凄い。
ラスベガス・サンズの進出といい、あのビルといい、シンガポールは今やアジアで一二を争う勢いのある都市なのでしょうね。
あらためて認識しました。
日本ばっかり見てたらほんまにあかんなぁ。
それにしても、大阪にもああいうビルが欲しいものです。
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本件とは全然関係のない話題で恐縮ですが…例の生コンストの件、実は完全に解決したわけではないようですね。ゴリモン氏のサイトの記事で見ました。いつまで膠着状態が続くのでしょうか、心配です。
各建設現場にこれ以上の悪影響が出ないことを願っています。
違う話題ですみません。
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ターミナルビルのウイングは、中央から両先端に向かってゆるい円弧を描いていますが、それをさらに延長していくと、両ウイングは一つの巨大なサークルとなって繋がるデザインだそうです。
トラスやシースルーエレベーター、ダクトなどのむき出し感に対しての、ターミナルビル全体の柔らかなカーブは本当に美しいコントラストだと思います。