大阪メトロと大阪シティバスはオンデマンドバスの社会実験を生野区及び平野区で2021年3月30日から開始しました!
オンデマンドバスは決まったルートを運行する路線バスとは異なり、スマートフォンの専用アプリを使って、乗り場・行き先・出発日時を指定して予約することで、バスを配車できる仕組みです。エリア内は約300mメッシュ毎に設定された約200地点で乗り降りが出来ます。利用料金は市バスと同じ「おとな210円・こども110円」です。
【出展元】
https://subway.osakametro.co.jp/news/news_release/20210304_ondemando_bus.php
https://wwwtb.mlit.go.jp/hokushin/content/000104104.pdf
http://www.odtc.jp/docs/confe/09-1_shiryou.pdf
実証実験では利用者の事前予約に応じてAIが経路を決定。走行中に別の利用者から予約が入ると、AIが自動で最短ルートを検索し効率的な“乗り合い”で運行を行います。
大阪市内でも特に高齢者率が高い生野区では、中心部でもバスの本数が1時間に2本程度と利便の悪さが課題となっています。ファーストワンマイル・ラストワンマイルなどの交通課題の解消や、交通の更なる利便性向上をめざした「オンデマンドバス」が、そういった課題を解決できるのか?小規模ながら注目度が高い取り組みが始まりました。
配車予約は「Osaka Maas 社会実験版・アプリ」又は「電話」
配車予約はスマートフォン用アプリ「Osaka Maas 社会実験版」または「電話」で行います。
■スマートフォン用アプリからの配車予約
アプリ名称 Osaka Maas 社会実験版
運賃決済方法 現金またはクレジットカード
■電話からの配車予約
窓口名称 Osaka Metroオンデマンドバスコールセンター
電話番号 0570-08-6600
開設時間 7時から17時まで(年中無休)
運賃決済方法 現金
1 運行開始予定日
2021年3月30日(火曜日)
2 運行時間
6時から23時まで
3 運行エリア
・大阪市生野区西部地域
・大阪市平野区加美地域を中心とする地域
・大阪市平野区長吉地域東部を中心とする地域
4 利用料金
大人 210円
小児 110円
オンデマンドバスに早速のってみた!
実証実験が始まったオンデマンドバスに速攻で乗ってきました!まずはスマホ用アプリ「Osaka MaaS 社会実験版」をインストール。このアプリでオンデマンドバスの予約及び決済、乗換検索が出来ます。
また、近日中に、利用者の好みに合わせた沿線地域のおすすめスポット、目的地と連携した店舗情報の紹介などが追加されるとの事です。バス停はこんな感じです。路線バスに比べて対象エリア内に多数の乗降スポットが設定されている事が解ります。
今回は寺田町駅前70から出発。
いとも簡単に予約が完了!ホンマにこんなんでバスが来るのか?一抹の不安を覚えつつ、予約時間に合わせて指定したバス停に移動。
そして予約時間ジャストにバスが
キター(・∀・)━!!!!
バスに乗るときに運転手さんに予約番号を伝え、現金決済の場合は料金「210円」を支払います。カードの場合は画面を見せて予約番号を伝えます。実に簡単です。
車内の様子です。とにかく「広い!」そして快適!
地下鉄で移動中に30分後のバスをアプリ予約する、10年前までは「SF」だった事を自分は確かにしてきました。初めて利用したオンデマンドバスの感想は「未来の交通機関を少しだけ垣間見た感じ」です。
1:アプリで予約した時間に、本当にバスがくる!
2:乗り合いが無ければ目的までノンストップ。
3:路線バスよりも機敏で速い!経由地があっても速いと思います
4:タクシー感覚で使えるのに1回210円は安い
今後利用者が増えてくると・・・
・時間通りに来なくなる
・経由地が多くて遅くなる
・客が多すぎて乗れない
・予約しないと乗れないとの文句が出る(メリットと二律背反ですが)
・スマホが使えないので予約がめんどくさい(デジタルデバイド問題)
などの問題点が出てくると思います。まずは実証実験で良い点、悪い点をあぶり出す事が先だと思います。
デマンド型交通とは?
それでは、今回ご紹介している『オンデマンドバス』実証実験の理解を深める為に、デマンド型交通を少し深掘りしてご紹介したいとおもいます。
デマンド型交通は、正式には DRT(Demand Responsive Transport:需要応答型交通システム)と呼ばれ、路線バスとタクシーの中間的な位置にある交通機関です。
事前予約により運行するという特徴があり、運行方式や運行ダイヤ、さらには発着地(OD)の自由度の組み合わせにより、多様な運行形態が存在します。デマンド型交通は、2006年の道路運送法の改正により道路運送法に基づく「乗合事業」に位置づけられ、一般的には地域公共交通会議で協議が調うことが運行許可の条件となっています。
オンデマンドバス(デマンドバス)とは?
オンデマンドバスは「デマンド型交通」の一種で、従来の路線バスとは異なり、乗りたいときに乗りたい場所を簡単に予約ができる仕組みです。利用したいときに呼んで目的地を自由に設定できるタクシーと、決まった時刻(ダイヤ)で決められた経路を走り他のお客様と乗り合う路線バスの中間的なサービスと言えます。
オンデマンドバスの運行方式はいくつかありますが、今回の大阪メトロの実証実験では決まった時刻(ダイヤ)は定めずにお客様の予約に応じて経路を選んで運行し、AI(人工知能)が予約状況をもとに最適な経路を選びます。
多様な種類があるデマンド型交通
デマンド型交通と言っても、1:運行方式、2:ダイヤ、3:発着地の自由度の組み合わせで多種多様な種類があります。
1:運行方式(定路線型⇔自由経路型)
デマンド型交通を運行方式の視点から見た場合、下記の4つに分類できます。今回の大阪メトロが実施する実証実験は、C)「自由経路ミーティングポイント型」に該当します。自治体や地域がどのような形態の公共交通を導入するかは、それぞれの地域が公共交通に何を期待するのかにより異なってくるので、導入エリアのニーズに合った運行方式を選定する事が重要です。
A)「定路線型」
路線バスやコミバスの多くに採用されている予め定められたルートを運行
B)「迂回ルート・エリアデマンド型」
需要に応じ予め定められた迂回ルートやエリアへ運行
C)「自由経路ミーティングポイント型」
運行ルートは定めず、予約に応じ予め定められたバス停又はミーティングポイント間を結ぶ
D)「自由経路ドアツードア型」
運行エリアは決まっているものの、一般的なタクシー事業のように運行ルートを定めず、需要に応じ、乗降場所の指定も行わない
2:運行ダイヤ(固定ダイヤ型⇔非固定ダイヤ型)
デマンド型交通を運行ダイヤという視点から見た場合、下記の3つに分類出来ます。今回の大阪メトロが実施する実証実験は、3)「非固定ダイヤ型」に該当します。こちらは利用者数の大小によって適切なタイプを設定する事が重要です。1)「固定ダイヤ型」
路線バスやコミュニティバスのように予め運行ダイヤが定められており、予約があった場合のみ運行する
2)「基本ダイヤ型」
運行の頻度と主要施設・バス停における概ねの発時刻または着時刻を設定
3)「非固定ダイヤ型」
運行時間内であれば、需要に応じ、随時運行する
.
3:発着地(OD)の自由度
デマンド型交通を発着地(OD)の自由度という視点から見た場合、フィーダー路線としての位置づけにより4つの要素の組み合せにより6つのタイプに分類できます。今回の大阪メトロが実施する実証実験は、BB:バス停等(BusStop)⇔バス停等(BusStop)に該当します。BB:バス停等(BusStop)⇔バス停等(BusStop)
予め設置されている全バス停等での発着が可能なタイプ
BF:バス停等(BusStop)⇔着地固定(Fix)
発地(自宅)は全バス停等の利用が可能であるが、着地は病院など特定の施設またはエリアに限定されているタイプ
BT:バス停等(BusStop)⇔乗り継ぎ施設(Transfer)
発地(自宅)は全バス停等の利用が可能であるが、着地は幹線バスの最寄りバス停等に限定されているタイプ
DT:ドア(自宅・施設)(Door)⇔乗り継ぎ施設(Transfer)
発地は利用者の自宅(玄関口)や特定の施設であるが、着地は幹線バスの最寄りバス停等に限定されているタイプ
DF:ドア(自宅・施設)(Door)⇔着地固定(Fix)
発地は利用者の自宅(玄関口)や特定の施設であるが、着地は病院など特定の施設またはエリアに限定されているタイプ
DD:ドア(自宅・施設)(Door)⇔ドア(自宅・施設)直行型(Door)
発地着地とも制限が無く、自宅(玄関口)や特定の施設から目的施設(玄関口)まで移動できるタイプ
自動運転車とオンデマンドバスが都市交通の未来を開くか?
国内のデマンド型交通の導入目的は、公共交通空白地域の解消が約 73%、自治体の負担軽減が約 37%となっており、導入のきっかけは自治体担当部局からの提案や住民からの要望など様々です。
デマンド型交通は、路線定期型交通にない利点が多く存在し、使い方によっては地域住民の移動手段の確保に向け心強い味方となってくれる可能性を秘めています。一方で、予約の煩わしさや乗り合いへの抵抗感、予約の多寡による時間的正確性の欠如、高い利用者1人当たり輸送コストなどの短所を抱えていいます。デマンド型交通は、決して経費の負担軽減と利便性の向上を一挙に実現できる魔法の杖ではありません。
誰のためのどのような移動需要に対応する必要があるのか、地域住民の移動需要を把握した上で、一定の財政的制約下においてどのような運行方式を選択すべきかを、地域住民と行政が十分議論し、互いが納得し、交通事業者を含む三者の相互信頼関係が構築される中で地域に合ったデマンド型交通を構築する必要があります。
今回の大阪メトロの実証実験は、人口密集地地帯でありながら路線バスの利便性が悪いエリアに対する問題解決策としてオンデマンドバスを導入するものです。
運行方式・運行ダイヤ・発着地(OD)の自由度は、対象エリアの状況を鑑みてC)「自由経路ミーティングポイント型」、3)「非固定ダイヤ型」、BB:バス停等(BusStop)⇔バス停等(BusStop)※C-3-BB が採用されました。
将来的に自動運転車のコストが大きく下がり、オンデマンドバスの運行密度が上がれば乗りたい時に近くの乗降スポットから行きたい場所に行ける様になります。今回の実証実験は、そんな未来の交通機関に繋がる一歩だと言えます。
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大阪メトロ「オンデマンドバス」4月から運行エリア拡大へ(NHKニュース)
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20220323/2000059228.html
このバスの運行エリアが来月1日から大阪・北区と福島区にも広がることになり、23日、記念の式典が行われました。
初日は車椅子の方が予約しても来ないアプリトラブルがあったようですが、穏やかな天気で幸いでした。予約開始時間前のマニアからの集中アクセスに対応出来なかったようですね。
実験地区だと車庫や待機場が住吉か出戸、又は廃止された長吉でも良さそうですが、遠い住之江車庫なんですね。
シティバス旧本社なので勤怠管理の関係でしょうか。
利用客が少なければほとんどタクシーと変わらないと思いますが、利用客が増えてもなるべく効率よく輸送できるかが焦点ですね。あまりにも遠回りされると大変だと思いますので…。
これだけで通勤通学するというよりは、近所の商店街に行くとか、他の交通機関に乗り換えるための繋ぎといった利用が中心になるんではないでしょうか。