大阪IRの事業予定者 MGM・オリックス連合に正式決定!提案概要を公開、開発コンセプトは「結びの水都」



大阪府・市は2021年9月28日に、大阪ベイエリアの夢洲への誘致を目指している統合型リゾート(IR)の開発・運営事業者予定者に、MGM・オリックス コンソーシアムを選定したと正式に選定したと発表し、同時に事業予定者からの提案内容を公開しました!!

初期投資額は1兆800億円で、延べ床面積約77万㎡の施設を建設。年間来場者は約2050万人、年間売上は約5400億円を見込み、2020年代後半の開業を目指す計画で、実現すれば大阪府と市に、売上や入場料から毎年約1100億円の納付金が入る事になります。

今後は、府、市とMGM・オリックスが共同で「区域整備計画」の策定に着手し、府と市の両議会での同意を得た上で2022年4月までに国に申請。国が審査を行い、最大3箇所を認定します。なお、国の認定時期は現時点では決まっていません。

【出展元】
大阪・夢洲地区特定複合観光施設設置運営事業 設置運営事業予定者の選定について

 
応募者の名称 MGM・オリックス コンソーシアム
応募グループ構成員 MGMリゾーツ・インターナショナル、オリックス、関西企業を中心とするその他の構成員
初期投資額 約1兆800億円(税抜き)
年間来場者数 約2,050万人
(国内 約1,400万人、国外 約650万人)
年間売上 約5,400億円
(ノンゲーミング 約1,100億円、ゲーミング 約4,300億円)
雇用者数 約15,000人
納付金・入場料
(府・市合計)
約1,100億円/年
(納付金 約770億円/年、入場料 約330億円/年)
 

 

 

事業概要


MGM・オリックスの提案によると、施設の延べ床面積は約77万㎡で、このうちカジノ施設は約6.1万㎡(カジノ行為区画は総延床面積の3%以内)、日本最大級となる6000人超を収容する会議室を備える国際会議場(約3.7万㎡)や展示施設(約3.1万㎡)、富裕層向けの最高級ホテルなど計2500室の宿泊施設(約28.9万㎡)などで構成されています。

 
施設種別 延床面積 施設構成・規模
国際会議場施設 約3.7万㎡ 最大会議室 6,000人超収容
展示等施設 約3.1万㎡ 展示面積 2万㎡
関西イノベーション・ラボ
魅力増進施設 約1.5万㎡ ガーデンシアター
関西ジャパンハウス
三道体験スタジオ
ジャパン・フードパビリオン
関西アート&カルチャーミュージアム
送客施設 約1.4万㎡ 関西ツーリズムセンター
バスターミナル、フェリーターミナル
宿泊施設 約28.9万㎡ 客室 約2,500室
レストラン、プール、フィットネス
大浴場、バンケット 等
エンターテイメント施設 約1.3万㎡ 夢洲シアター3,500席 等
飲食・物販・サービス等施設 約31.0万㎡ 飲食施設、物販施設
駐車場、エネルギーセンター 等
カジノ施設 約6.1万㎡ ※カジノ行為区画は総延床面積
の3%以内
総延床面積 約77万㎡
 

開発コンセプトは「結びの水都」


大阪IRのシンボルとなる結びの庭

大阪・関西に、“WOW” Next を。 WOW(新鮮な驚きや感動)の体験 “世界最高水準”の“成長型IR”を地域とともに創り育てる。大阪IRの開発コンセプトは“結びの水都” 。 大阪IRは、あらゆるものを結ぶ結節点として、水都大阪の伝統・文化・精神を継承し、日本の観光先進国化と持続的な経済成長への貢献 「アジアの中心となる国際競争力あるグローバル都市・大阪」 を実現するエンジンとなる事を目指します。

 

 

大阪・関西ならではの強みを活かした多様なコンテンツを提供


ジャパン・フードパビリオン

 

大阪IRでは、大阪・関西ならではの強みを活かした多様なコンテンツが提供されます。 飲食施設(ジャパン・フードパビリオン、ローカル/グローバルパートナー・ダイニ ング、ジャズクラブ 等) 、物販施設(Luxuryリテール、関西ジャパンハウス 等)、ウェルネス施設(スパ、フィットネスセンター 等)、IR施設のシンボルとなり非日常を体験出来るリゾート空間「結びの庭」などが見所になりそうです。三道体験スタジオ・・が地味に気になりますね(笑)

また、エンターテイメント施設は約1.3万㎡の規模で、夢洲シアター3,500席等が整備されます。MGMや国内外パートナーのネットワークを最大活用し、世界有数のエンターテイメント拠点を形成 。 世界水準のエンターテイメントの集積(ショー、パフォーマンス、スポーツ 等) 、最先端の技術・演出手法を活用した革新的なエンターテイメントの創出 、大阪IR発のオリジナルコンテンツの創出などが期待されます。

 

 

 


関西ツーリズムセンター

魅力増進施設(約1.5万㎡)は、日本の観光魅力を高め世界に向けて発信し、世界中の人々が日本の魅力を楽しめるコンテンツの提供します。VRなどの先進技術を活用したショーケース機能、専門人材やテクノロジー等を活用したコンシェルジュ機能、大阪最大級のバスターミナルや海上の新しい交通機能を整備します。

送客施設(約1.4万㎡)は、伝統、文化、芸術など、「日本の観光魅力のショーケース」の形成し、関西ツーリズムセンターとの連携により、大阪IRを起点とした広域観光の推進を図り、日本中にインバウンド客を送り込む心臓の役割を果たします。

 

 

宿泊施設


MGM大阪

宿泊施設は利用者需要の高度化・多様化に対応した、エンターテイメントホテル、多世代型アクアリゾートホテル、VIP向け最高級ホテルの3つの宿泊施設が整備されます。客室数は合計約2,500室で延べ床面積は約28.9万㎡と途方もない規模です。

 

 


MUSUBI ホテル(仮称)

 

 

懸念事項対策


ウォーターフロント空間

大阪IRではMGMの知見・ノウハウを踏まえた、世界最高レベルのギャンブル依存症対策が行われます。まず、カジノ施設の厳格な入場管理・利用制限措置が実施されます。また、AIによる解析など、最先端のICT技術等による問題あるギャンブル行動の発見と対応、24時間365日利用可能な相談体制等の構築、ギャンブル等依存症対策研究への貢献、専門人材育成への協力、民間支 援団体との連携体制構築 など大阪府・市及び研究機関等と連携し、責任あるゲーミングを着実に実施する、としています。

治安・地域風俗環境対策もハイレベルで実施されます。まず夢洲の立地が絶妙です。都心部と隔絶された「人工島」には住人がいません。その上で、厳格な組織犯罪・反社会的勢力対策、テロ対策、マネー・ローンダリング対策、強固な警備体制(総合防災センター、防犯カメラ、警備システム等)などが導入されます。

 

なんばパークスを観察する

 



なぜカジノが必要なのか?については、なんばパークスが参考になると考えています。なんばパークスには広大な屋上庭園があり、ギャンブル施設(場外馬券売り場)が併設されています。この構成、実はミニIRと言える組合わせとなっています。

パークスの広大な屋上庭園は開業から18年が経過してもなお完璧に近い状態で維持管理が行われます。推測ですが、一般的に迷惑施設と言われている場外馬券売り場のテナント収入が大きいのではないでしょうか。

これは3%のゲーミングエリアが全体の8割の収益をたたき出し、単独では維持不可能な巨大な国際会議場や文化・娯楽施設を実現させるIRのスキームとよく似ています。大阪IRは巨大な「なんばパークス」と考えると解りやすいかもしれません。

 

 

懸念事項とメリットを冷静に比較する



大阪IRは初期投資の1兆円に加え、1.5万人の雇用を生み出し、大阪府市に毎年1100億円の収入を継続的にもたらします。投資と来場者数増の好循環を形成し、「成長型IR」として持続的に発展する事ができれば、施設の修繕・建替え・拡張、コンテンツ更新・追加などを行いさらに魅力を高める事ができます。

たしかにIRには懸念事項がありますが、得られるメリットと天秤に掛けてどちらが「損か得か?」を冷静に考える必要があります。大阪IRは幸いにして、都心部から隔絶した無人の人工島に作らる為、近隣住民への直接的な影響はありません。治安悪化の懸念ですが、街中にあるパチンコ店や公営ギャンブルと異なり、入場料を徴収した上で厳格な対策が講じられます。また、IRを撤回した横浜市とは異なり、府知事・市長共に「IRの誘致」を公約に掲げ当選しているので民意を得ている所が大きいです。

得られるメリットは、年間2050万人の集客とそれらの人々がもたらす消費、1.5万人の雇用創出、そして毎年1100億円の収入です。これを財源として、積極的なインフラ整備など都市成長戦略を実行に移す事が可能になります。経済成長すれば税収が増え、住民サービスにもプラスの効果をもたらす事でしょう。

大阪IRが前進すると、続いて手を上げる自治体が出てくるかもしせません。懸念事項と得られるメリット。誘致の賛否を考える時は、これをフラットに並べて判断する事がとても大切です。

 

これまでの経緯



日経新聞Web版が伝える所によると、大阪府と大阪市が誘致を目指すカジノを中核とした統合型リゾート(IR)について、大阪府と大阪市が誘致を目指すカジノを含んだ統合型リゾート(IR)の事業者予定者に、MGMリゾーツ・インターナショナルとオリックスの共同グループが決定したことが、明らかになったとの事です。大阪府市IR事業者選定委員会がMGM・オリックス連合を16日までに選定しました。今後、9月下旬にも大阪府の吉村洋文知事が記者会見を開き、正式に発表する湯予定です。

【出展元】
大阪IRの事業者 MGM・オリックスに決定

 

 


出展元:観光庁

今後の予定ですが、大阪府・市が9月中に「MGM・オリックス連合」を事業予定者に決定した事を発表、事業予定者と共に「区域整備計画」を作成し2022年4月までに国に申請。国が審査を行い、最大3箇所を認定します。なお、国の認定時期は現時点では決まっていません。

大阪IRが2022年中に区域認定を受けられば、大阪府・市とMGM・オリックス連合が「実施協定」を提携し、一気に事業が動き出します。一番の焦点は「国による認定の時期」です。ここが固まらないとこれから前に進む事ができません。

 

 

 

 



大阪IRは、大阪ベイエリアの人工島で大阪関西万博の会場となる夢洲で事業期間は35年です。6000人以上を収容可能な国際会議場や10万㎡以上の展示会場、魅力増進施設、送客施設、3000室以上の宿泊施設などを含む中核施設に加え、中核施設以外の施設の設置・運営、まちづくりや防災対策、ギャンブル依存症対策、治安・地域風俗環境対策など幅広い施策が求められています。

コロナ禍の影響で規模が縮小される懸念がありましたが、MGM・オリックス連合が塩目下投資額は府・市が想定していた9300億円を上回る1兆円規模で、大阪メトロ中央線鉄延伸費用の一部200億円も負担する、府市にとっては満額回答に近い提案内容です。「2020年代後半」の開業を目指しています。

 


MGM・オリックス連合の提案内容は、今月下旬に大阪府・市から正式発表される予定です。横浜市が撤IR招致から撤退した現在、大阪は国内唯一の都市型IRの候補地となりました。提案内容については世界的に注目が集まりそうです。

 

 

これまでに公開された大阪IRのイメージパース


出典:MGM Resorts International

 


出典:MGM Resorts International

 


出典:MGM Resorts International

 

 

 

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