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GSユアサとホンダ、約4,341億円を投じて、滋賀にリチウムイオン電池新工場を建設し『20GWh』を生産。国内全体の年間生産能力に匹敵


GSユアサとホンダ、ブルーエナジー社は、2023年4月28日付けのニュースリリースで、電気自動車(EV)や住宅に使うリチウムイオン電池(LiB)の開発や量産に約4,341億円を投じる計画を発表しました!

新工場は滋賀県に建設する方向で検討中で、現在の国内全体の生産能力に匹敵する年間『20GWh』以上の生産能力を目指します。2027年から生産ラインを稼働させ、2030年までに量産を開始する予定です。

両社は、2023年1月にEV向けリチウムイオン電池(LiB)の開発で協業し、2023年中に合弁会社を設立する計画を発表していました。計画は、設立する合弁会社が事業主体となり、両者が電池の関連材料の確保や生産に必要な設備投資を行う予定です。

 

生産される電池は何に使う?


出展:https://www.krosaki.co.jp/sdgs/ev

新工場で生産されるリチウムイオン電池(LiB)は、主に、「電気自動車(EV)」の蓄電池や、太陽光発電など天候で発電量が変わる再生可能エネルギーを補完する「住宅用蓄電池」として利用されます。

 

新工場でEV用バッテリーを生産する目的


ブルーエナジー;長田野工場

世界的な自動車のEV化の流れが加速し、需要が拡大する中で、ホンダは、EV(電気自動車)の生産拡大に向けて電池の安定調達を図る狙いがあり、GSユアサは市場が拡大しているEV用の電池に本格参入する事で成長に繋げる目論見です。

国は経済安全保障の観点から、蓄電池を『特定重要物資』に指定しました。有事などに備え、国内での安定的な開発や供給が必要と判断したためです。新工場については経済産業省が約1,587億円(最大)を補助する見通しです。蓄電池で補助対象が明らかになるのは初めてで、国内の生産基盤を強化する狙いがあります。

 

GSユアサがEV用電池に本腰


出展:GSユアサ

GSユアサ(ジーエス・ユアサコーポレーション)は、京都市南区に本社を置く「総合二次電池メーカー」です。同社の基幹事業である鉛蓄電池の世界シェアは、自動車用が第2位、オートバイ用は世界第1位となっています。同社は、車載用電池について、これまでハイブリッド車(HV)用を優先してましたが、世界的なEVシフトの加速に対応する為、2022年にEV用の電池に参入する方針を明らかにしていました。

今回のホンダとの協業により大規模工場を新設する事で、EV用リチウムイオン電池(LiB)における存在感が一気に高まる事になりそうです。

 

世界シェア20%を目指す


出展:経済産業省>蓄電池産業戦略検討官民協議会

電気自動車(EV)や脱炭素に不可欠な蓄電池ですが、2019年に車載用・定置用を合わせて約5兆円だった蓄電池の世界市場は、2030年には40兆円、2050年には100兆円に拡大すると予想されます。

日経勢は、技術優位で初期の市場を確保しましたが、その後の市場の拡大に伴い中国や韓国のメーカーにシェアを奪われ、日本メーカーのシェアは低下。車載用に関しては2015年の約40%から、現在は約15%まで低下しました。

経済産業省は蓄電池について、日本企業の国内外での製造能力を、現在の20GWhから、2030年までに150GWhに、グローバルでは、現行の60~70GWhを600GWhに引き上げる目標を掲げました。この数字は、世界シェア20%程度に相当しますが、日本企業が国際競争力を維持し、主要なプレーヤーであり続けるためには、少なくともこの規模の生産能力が必要となります。

蓄電池は、経済安全保障の観点から見て非常に重要な戦略物資で、GSユアサとホンダによる新工場の計画は、2030年までに国内生産を150GWhまで増やす目標に向けた重要な計画です。新工場の計画概要や巨額投資が地元経済に及ぼす影響、これに続く計画にも今後も注目が集まりそうです。

 

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