大阪市は2025年4月15日、同年4月1日現在の推計人口を発表しました。それによると、人口総数は2,800,023人に達し、ついに280万人台を回復しました。これは、1965年(昭和40年)の人口ピーク(3,156,222人)以降、半世紀にわたり続いてきた人口減少傾向からの転換点として、大きな意味を持ちます。
3月は5,425人の純増、社会動態が牽引大阪市の推計人口が280万人を突破、都心再評価で回復傾向鮮明に

2025年3月の人口異動を見ると、出生と死亡の差である「自然動態」は1,790人の減少でしたが、転入と転出の差を反映する「社会動態」は7,215人の増加。結果として、大阪市の人口は前月から5,425人の純増となりました。
男女別人口は、男性が1,346,982人、女性が1,453,041人で、女性が約10万人多い構成です。また、世帯数は1,577,343世帯に達しており、単身世帯や小規模世帯の増加を背景に、世帯数の増加も続いています。
都心再評価と人口回復の背景

大阪市の人口回復には複数の要因が複合的に作用しており、その背景には社会動態の変化と都市構造の進化が見て取れます。以下では、2つの視点からその要因を整理します。
【要因①】インバウンド回復と女性流入が社会増を支える
(※2020年国勢調査に基づく分析)
コロナ禍以降、急回復を遂げたインバウンド需要が、大阪のサービス業を中心に就業機会を生み出し、とくに西日本から若年女性の転入が増加しました。こうした流れが「社会動態のプラス」を支え、近年の人口増に大きく貢献しています。
一方で、かつては在阪企業の東京移転が進み、関西からの人材流出が続いていましたが、その傾向は近年落ち着きを見せています。企業の東京シフトもすでに「行き着くところまで行った」とも言われており、転出超過は減少傾向にあります。少し前のデータですが、2020年国勢調査によると、大阪府では女性人口が前回比で増加、男性人口が減少しており、都市の人口構成にも変化が見られます。また、20万世帯を超える世帯数の増加も確認されており、単身化やライフスタイルの多様化が都市への人口集中を後押ししています。
【要因②】都心回帰とタワーマンションによる人口吸収
(※東京カンテイ・不動産経済研究所データより)
もう一つの重要な要因が、都心部への居住志向の高まりです。1998年の建築基準法改正や都市再生特別措置法の施行を契機に、用途制限の緩和や容積率の見直しが進み、大阪市内では高層住宅の開発が活発化。とくにタワーマンションの供給が人口吸収の基盤を築いてきました。
東京カンテイの調査によれば、2020年時点で大阪市内には20階以上のタワーマンションが約4.4万戸存在します。仮に1戸あたり2人が居住するとすれば、約8.8万人の人口を受け入れてきた計算になります。さらに、不動産経済研究所のデータによると、2021年以降に完成予定のタワーマンションは31棟・9,911戸。これも将来的に約2万人分の都心居住需要を支えることになります。こうした供給がなければ、280万人回復は実現不可能だったと考えられます。
規制か活用か、タワーマンションをどう捉えるか?

タワーマンションの増加には景観・防災・インフラ負荷などの課題がある一方で、それを受け止める住宅供給が都市成長に不可欠であることも事実です。とくに大阪市のように都市内に限られた土地しかない場合、高密度な住環境を実現するタワーマンションは都市インフラとしての役割を果たします。
富裕層や高所得世帯の誘致、税収増、地域消費の活性化といった経済効果も見逃せません。課題が顕在化した際には、単純な規制ではなく、立地誘導や周辺地域との共存施策による解決が望まれます。
都市の質を問う次のフェーズへ

今回の280万人到達は、単なる数値の回復ではなく、都市構造の転換と、再び“都市としての勢い”を取り戻しつつある大阪市の現在地を示しています。
その背景には、在阪企業の東京シフトが一巡し、人口流出が底を打ったことに加え、インバウンド需要の復調によるサービス業の雇用拡大が大きく寄与しました。とりわけ観光・飲食・宿泊業などの分野では、人手不足を補うかたちで、全国からの転入者が社会増を下支えしています。
さらに、万博やインバウンドに向けた都市再開発の進展により、ホテルを中心に民間投資が活発化。都心居住の再評価が進み、タワーマンションが多数建設されたことが、人口を直接的に受け止める基盤となりました。こうした流れの中で、従来は郊外の高級住宅地に住んでいた富裕層が、資産価値の高い都心タワマンへ回帰する動きも見られ、都心の消費活性化にも繋がっています。
「世界都市」への飛躍をかけて
大阪の次のフェーズは、世界的な観光都市として確固たる地位を築くこと、そしてその先には、観光業に続く第2・第3の切り札の創出が控えています。その候補として注目されているのが、国際金融都市構想やバイオサイエンスの集積です。
これらは高度人材を必要とする分野であり、企業に大阪進出の意義を示すには、制度設計、都市の魅力、生活環境といった多面的な優位性を確立することが不可欠です。競争は激しく、壁は高いものになるでしょう。
しかし、その壁を乗り越えてこそ、大阪は「大きな地方都市」から「真の世界都市」へと進化できるはずです。そのための準備は、すでに静かに、しかし着実に進み始めています。
「国際金融都市の大阪」に強く希望します!
これは私も昨日、ネットで知りました(•‿•)
人口280万人に回復したのは、実に半世紀ぶりだそうですね!
ますますの大阪・近畿の飛躍成長から発展への原動力になるように願っています(^‿^)