森記念財団・都市戦略研究所は2023年7月13日に「日本の都市特性評価(JPC)2023」を発表しました。JPCは定量・定性データの分析から各都市の特性を明らかにするもので、政令指定都市・県庁所在地および人口17万人以上の国内136都市および東京23区を対象に、「経済・ビジネス」「研究・開発」「文化・交流」「生活・居住」「環境」「交通・アクセス」の6分野86指標に分け評価しています。なお東京は総合ランキングの対象外で、別項目で特別区別に別に集計されています。
【出展元】→日本の都市特性評価 | 森記念財団 都市戦略研究所 (mori-m-foundation.or.jp)
第1位:大阪市
トップの大阪市は、経済・ビジネス、交通・アクセスで首位を維持した他、居住環境における「新規住宅供給の多さ」「満足度」、安全・安心における「災害時の安全性」でスコアが上昇しました。都心部における良質な住宅(タワーマンション)の供給が居住環境のスコアを押し上げていると思われます。一方、コロナ禍の影響で「交流実績」の国際 会議・展示会開催件数などのスコアが下がり、文化・交流は1ランクダウン。環境は順位を少し上げたものの依然として弱みとなっています。
ウイークポイントは環境分野
JPCにおける環境分野は、環境パフォーマンス、自然環境、快適性の3つの指標グループの中に10の評価項目が設定されています。
大阪市のウィークポイントは「環境分野」で133位(前年137位)となっています。改善に向けて注力すべき点は、「72:都市地域緑地率」「76:空気のきれいさ」「77:街路の清潔さ」「73:水辺の充実度」が上げられます。緑地の整備、街路を清潔にする、水辺環境を整える取り組みはこれまでも行われてきましたが、さらなる取り組みの強化が必要です。
69:昼間人口あたりCO2排出量の少なさ」のスコアについては、大阪市は市域が狭い上に京阪神大都市圏の中心として飛び抜けた業務中枢機能を有しており、昼間人口が多い為、改善は難しいと思います。ランキングを重視するのであれば、68:リサイクル率や70:再生可能エネルギー自給率の項目でスコアを稼ぐ方が効率的です。
<環境パフォーマンス>
68:リサイクル率
69:昼間人口あたりCO2排出量の少なさ
70:再生可能エネルギー自給率
<自然環境>
71:自然環境の満足度
72:都市地域緑地率
73:水辺の充実度
<快適性>
74:年間日照時間
75:気温・湿度が快適な日数
76:空気のきれいさ
77:街路の清潔さ
研究開発分野も要改善ポイント
また、研究開発分野は総合5位(前年6位)となっており要改善ポイントとなっています。JPCにおける研究開発分野は、研究集積、自然環境、研究開発成果の2つの指標グループの中に5の評価項目が設定されています。
大阪市の弱みは都心部を含む市内に大規模な大学キャンパスが少ない事です。その為、「22:学術・開発研究機関従業者割合」や「23:トップ大学数」「24:論文投稿数」のスコアが低くなりがちです。
挽回するには、大阪公立大学などにみられる都心型キャンパスの新増設を支援する事、研究開発成果における「25:グローバルニッチトップ企業数」「26:特許取得数」をターゲットに企業の研究開発分野が活発化する様な取り組みが必要です。
<研究集積>
22:学術・開発研究機関従業者割合
23:トップ大学数
<研究開発成果>
24:論文投稿数
25:グローバルニッチトップ企業数
26:特許取得数
第2位:横浜市
出展:横浜市>IR(統合型リゾート)2位は横浜市で昨年の4位から2ランクUPしました。同市の強みである文化・交流でスコアを伸ばし、特に国際会議・展示会開催件数は6位から1位に上昇。コロナ禍の影響で多くの都市が件数を落 とす中、横浜市は件数を伸ばしたことで、「交流実績」で突出した偏差値を獲得しました。経済・ビジネスにおいても、国勢調査の更新に伴い、女性就業者割合・外国人就業者割合・高齢者就業率すべてでスコアアップしたことが影響しました。
第3位:名古屋市
3位は名古屋市で前年5位から2ランクUP。名古屋市は、研究・開発と交通・アクセスで高い評価を得ており、知の集積と交通の要衝としての強みを発揮しています。研究・開発は「研究集積」「研究開発成果」どちらも高評価を獲得。交通・アクセスにおいては「都市外アクセス」の偏差値が高く、インターチェンジ数の高評価がその要因に上げられます。また今年は、シェアサ イクルポート数が増加したことで、自転車の利用のしやすさのスコアを伸ばしました。
第4位:福岡市
4位は福岡市。環境を除く5分野でトップ10入りを果たし高い総合力を有しています。特に経済・ビジネスでは 「雇用・人材」「人材の多様性」などでスコアを伸ばしたことで、同分野の順位を5位から2位まで上昇。 今年は環境においても順位を上げており「自然環境」における自然環境の満足度や「快適性」に おける街路の清潔さで高いスコアを獲得しています。
第5位:京都市
5位は京都市。多くの文化遺産を有する京都市は、コロナ禍の影響で「交流実績」における国際会議・展示会開催件数のスコアを落としたものの、今年も文化・交流の首位を維持しました。一方、経済・ビジネスにおいては、「人材の多様性」や「ビジネス環境」などの指 標グループで評価を落としたことで順位を下げる結果となりました。
第6位:神戸市
6位は神戸市。神戸市は突出した強みはありませんが、全ての分野において平均を上回るスコアを獲得しており、バランスの取れた都市力が特徴です。その中でも文化・交流分野における「発信実績」における全ての指標がトップ10入りしており、情報発信力という点において優れています。今年は、経済・ビジネスにおいて順位を上げており「ビジネス環境」における特区制度認定数はスコアを伸ばし、136都市中3位を獲得しました。
第7位:仙台市
7位は仙台市。研究・開発および文化・交流の2分野において高順位を獲得していることに加えて、他の4分野においてもバランス良く高評価を得ています。経済・ビジネスでは、「人材の多様性」や「ビジネスの活力」において評価を高め、同分野の順位を上げました。生活・ 居住では「安全・安心」や「居住環境」のスコアを伸ばし、暮らしやすさの魅力をさらに高めています。
第10位:札幌市
10位は札幌市でした。特に文化・交流と研究・開発で高いスコアを得ていることから、研究機能の集積と、観光地としての魅力を有する大都市である事が伺えます。研究・開発では特に、グローバルニッチトップ企業数で高評価を得ており、今年はトップ大学数でもスコアを伸ばしました。文化・交流では、どの指標グループも偏差値50を超えており、ハード・ソフト両方の資源を併せ持つ観光都市であるといえる。 唯一評価が低い観光客誘致活動でスコアを伸ばすことができれば、さらに文化・交流で高スコアを獲得することが期待されます。
今の国の構造では地方は地方のままって感じですね。
道州制期待してます。
特別行政区や政令指定都市制度は、今の時代には全く合わない行政区分です。早く道州制にして、東京一極中央集権から脱却が急務です。
大阪がもっと良くなるために大阪都構想は3度目の正直で実現してほしいです。
過去に2度もチャンスを逃していて非常にもったいないです。
東京が特別区で別枠になっていますので、大阪都構想が実現したら東京と同じカテゴリーに入るだけです。
逆に東京が都政を止めて東京府と東京市の二重行政に逆行したら大阪市と東京市が同じカテゴリーになるだけの事です。
大阪市が消滅していたら、こういうランキングに大阪は入りませんね。