米ウォール・ストリート・ジャーナル紙(以下、WSJ)は、アマゾンが独自に開発を進める「手のひらペイ」システム『pay-by-hand kiosks』を他の企業に販売する可能性があると報じました。アマゾンは、2019年12月26日に米国特許商標庁に、静脈や骨、軟組織などの特徴を読み取ることができるハンドスキャナーを含む「生体認証システム」に関する申請資料を提出しています。
WSJによれば、Amazonは、コーヒーショップやファーストフード店など、リピーターが多い企業にこの端末を売り込む事を計画しているとの事です。
【出展元】
→https://www.geekwire.com/2020/heres-amazons-rumored-pay-hand-tech-work/
→https://www.wsj.com/articles/cash-plastic-or-hand-amazon-envisions-paying-with-a-wave-11579352401
→https://getnavi.jp/world/423562/
→https://dcross.impress.co.jp/docs/usecase/000618.html
支払い体験はアマゾンにとって重要な優先事項です。クレジットカードは読み取り3~4秒を要しますが、amazonの『手のひらペイ』のスキャンする時間はわずか0.3秒です。このサービスが利用されればレジでの支払いが格段にスピードアップしそうです。
アマゾンはこの技術をクレジットカード会社と協力し個人情報保護の扱いに注力し開発を進めており、Amazon傘下の無人コンビニAmazonGoやホールフーズの店舗でPrime会員を対象に導入される可能性が高いです。
日本ではイオンクレジットサービスが、手のひら静脈認証を利用したクレジットカードのカードレス決済の実証実験を2018年9月からミニストップの一部店舗で行っています。
手のひら静脈による認証は富士通の 生体認証 PalmSecureが採用されました。生体認証技術の中でも認証制度が高いことのほか、
センサーと手のひらが接触せず衛生的であること、体内にある静脈は外的影響によって変化することがほとんどないこと、さらに偽造が困難である事が評価されました。
※FRR(本人拒否率)0.01%(リトライ1回)/FAR(他人受入率)0.00001%以下
実験ではイオングループの従業員を対象に、イオンクレジットが発行する「イオンカード」の情報と、手のひら静脈のパターン情報を登録し紐付けを行いました。利用者は、商品の精算時に、自身の生年月日を入力した後、レジカウンターに設置してあるセンサーに手のひらをかざして決済する仕組みです。
amazonよりも先にイオンが『手のひらペイ』の実証実験を行った事は興味深いですが、イオンの仕組みは「生年月日を入力」が必須で、富士通の PalmSecureは読み取り速度がamazonよりも遅いと思われるので、ユーザーの支払い体験はかなり劣ります。
「生年月日を入力」が必要な時点で、支払い体験の向上をあまり意識していないのかもしれません。
Amazonが「Just Walk Out」の提供を開始。「Amazon Go」の技術を外販し小売りの破壊者がサービスプロバイダーに!
なかなか興味深いです。