
近鉄シリーズ21(Series-21)は、2000年に登場した、近鉄の次世代一般車両(通勤形電車)の総称で、「21世紀のスタンダード」となる車両として誕生しました。開発コンセプトは「人に優しい、地球に優しい」。2000年~2008年にかけて大阪線・奈良線・京都線・南大阪線等に3220系、5820系・9020系・9820系、6820系の5形式、合計163両が投入されました。「シリーズ21」は2000年グッドデザイン賞・2001年鉄道友の会ローレル賞を受賞しています。

シリーズ21は、1981年に登場した、8810系電車で確立された正面デザインが変更された他、カラーリングも、1986年の3200系以降で採用されていた、シルキーホワイトにマルーンレッドのツートンカラーから、車体上部をアースブラウン、車体下部をクリスタルホワイトのツートンカラーに、サンフラワーイエローの帯を巻いた「シリーズ21」専用色となり、車体前面はブラックフェイスに仕上げられイメージを一新。まさにフルモデルチェンジと言える変貌振りでした。

◆シリーズ21設計コンセプト
・高齢化社会に対応出来る「人にやさしい」車両
・環境負荷の少ない「地球にやさしい」車両
・製造、保守面で「コストダウン」した車両
・係員に「扱いやすい車両」
・通勤車両として「21世紀のスタンダード」となる車両
◆標準軌線
•3220系(京都市営地下鉄烏丸線直通運転に対応)
•5820系(L/Cカー、奈良線車両は阪神直通運転に対応、大阪線車両はサ5550形・ク5750形に車椅子対応トイレ装備)
•9020系(奈良線車両は阪神直通運転に対応)
•9820系(阪神直通運転に対応)
◆狭軌線
•6820系(南大阪線)

シリーズ21のボディカラーの配色の意味ですが、車体上部は「歴史を育んできた大地が朝日に染まるさま」を表すアースブラウン、車体下部は「うち寄せる波の輝きと躍動感」を表すクリスタルホワイト、ツートンの間に入るサンフラワーイエローのラインは、「野性的だがあったかいという近鉄のコーポレートイメージを表しています。近鉄の一般車両としては32年ぶりにボディカラーが一新されました。

シリーズ21の側面です。在来車もこのカラーパターンに変更されるのかな?と思いましたが、現在に至るまで在来車の塗装変更はなく、異なったカラーパターンの車両群が混在する状態が続いてきます。

種別表示は幕式と、行き先表示は3色LED式表示機が採用されています。

形式車両番号は、塗装ではなく、金属製のカット活字となっています。細かいですが高級感を演出するアイテムですね。

9820系です。シリーズ21の標準的な6両編成のロングシート仕様で、6連✕10本、60両が奈良線系統に配置されています。阪神線直通対応。

近鉄大阪線の関屋駅付近を行く9020系。シリーズ21は総数163両が製造された大所帯ですが、大阪線のシリーズ21は、L/Cカーの5820系6連✕2本と、この9020系2連✕1本の14両のみ、南大阪線は狭軌版シリーズ21、6820系2連✕2本の4両の配置で、残り145両は全て奈良線系統に集中投入されています。これは阪神なんば線直通に伴う措置ですが、奈良線と他線との差が激しい状態になっています。

近鉄の最新型通勤車両シリーズ21。最終増備の2008年から約10年ほど、通勤型の新車投入が滞っているので、そろそろ新生代のシリーズ21NEXTの増備を行って欲しい所です。大阪線、南大阪線、名古屋線の各線に毎年4連✕4本、48両づつ位のペースで継続的に新車を投入して欲しいですね。

