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FCバルセロナ育成拠点が奈良・川西町に誕生へ──国際交流・人材育成・地域活性を担う15haの新拠点構想

奈良県は2025年5月、「川西町県有地活用基本構想」を公表しました。対象は磯城郡川西町の北東部に位置する県有地(約15万㎡)。ここに、世界的サッカークラブ FCバルセロナの選手育成拠点「バルセロナレジデンスアカデミー」を誘致し、商業施設や宿泊施設を含む複合エリアとして段階的に整備します。構想の軸は、「子どもを中心に多様な交流が生まれるまちKAWANISHI」の実現。2031年度の開業を目指し、2025年度に基本計画策定に着手します。

アクセス性と広域連携を活かす立地 まほろば健康パークと一体整備


計画地は、東に京奈和自動車道(大和御所道路)、西に近鉄橿原線、南に大和川(初瀬川)、北に県道天理斑鳩線に囲まれた約15haのエリアで、近鉄橿原線「ファミリー公園前駅」から約300m、郡山南ICや西名阪道の大和まほろばSICからも至近です。敷地の西側には奈良県が整備する「まほろば健康パーク」が隣接しており、同施設の拡張を含む基本計画(2025年3月策定)とも連動しながら、広域的な機能連携を図ります。

スポーツ×教育×国際交流──FCバルセロナ誘致の狙い


スポーツゾーン(約71,000㎡)の核となるのは、FCバルセロナが世界展開するアカデミー型人材育成事業の日本拠点。県はすでにスポーツ交流協定を締結済みで、誘致に向けた協議を進めています。

構想に基づき整備されるのは、天然芝のサッカー専用グラウンド、多目的グラウンド(人工芝)、クラブハウス、管理センター、ナイター照明や防球フェンスなどの周辺設備です。大会や合宿を見込んだ宿泊施設や飲食・物販などの商業機能も民間整備により導入される予定です。

これにより、地域の子どもたちが世界的アスリートと交流し、留学生との国際的なつながりを育む環境を創出。スポーツを軸に、教育・観光・まちづくりが交差する新たなモデルエリアを目指します。

企業誘致ゾーンは商業とスポーツ産業の融合で地域に賑わいを


一方の企業誘致ゾーン(約59,000㎡)では、スポーツや健康をテーマとした商業施設・飲食店・スポーツ関連企業の誘致を進めます。地元住民が日常的に利用できる利便施設に加え、スポーツ観戦・イベントに訪れる来訪者の滞在・消費を促す導線としても機能させ、地域全体の経済波及効果を高めます。

県は、国の「第3期スポーツ基本計画」や県独自の「第2期スポーツ推進計画」も踏まえ、スポーツによる地域振興・人材育成・交流促進の3点を事業の基軸としています。

DBO・BTO型PFIや指定管理など、柔軟な事業スキームを検討


事業手法については、施設の整備と運営を公共が担う「公設公営」方式に加え、民間主導によるPFI(民設民営)の導入可能性も検討対象です。想定されているのは、設計・建設・運営までを一体で担うDBO方式、建設後に公的主体へ移管するBTO方式、指定管理制度など。最適なパートナー選定に向けて、2025年度内に詳細な条件整理と基本計画を実施します。

スケジュール:2025年度から段階整備、2031年度開業へ

整備スケジュールは以下のとおりです。


年度 内容
2025年度 基本計画策定、PFI可能性調査
2026〜2029年度 土木設計、グラウンド整備、クラブハウス建築
2030年度 試験運用、民間施設調整
2031年度 本格開業、施設運営開始

本構想は、地方都市における国際的スポーツ拠点の誘致と、生活利便施設の整備を一体化させた先進的な取り組みです。FCバルセロナというブランドを活用することで、教育・観光・スポーツが連動し、県内外からの人の流れを呼び込むとともに、地元に新たな雇用・経済価値を生むことが期待されています。





出典:


  • 奈良県「川西町県有地活用基本構想」(2025年5月公表)

  • 第3期スポーツ基本計画(文部科学省、2022年)

  • 第2期奈良県スポーツ推進計画(奈良県、2023年)

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