鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)は2019年5月31日に、北陸新幹線敦賀~新大阪間の「計画段階環境配慮書」を公表しました。「計画段階環境配慮書」はルートや規模などの検討段階において環境保全などの検討結果をまとめた書類で、環境影響評価法(環境アセスメント法)に基づき作成が義務づけられている、いわば手続きの叩き台となるものです。
【出展元】→北陸新幹線(敦賀・新大阪間)計画段階環境配慮書

出典:国土交通省発表資料
敦賀〜新大阪間は 約 143km、所要時間 約44分、概算建設費 約 2兆1千億円、工期15年の予定で、高速走行を考慮して可能な限り直線とし、最小曲線半径4000m、最急勾配15パーミルを基本としています。途中、小浜市(東小浜)付近、京都駅、京田辺市(松井山手)に駅が設置されます。市街地が連続する京都駅や新大阪駅付近は基本的に地下トンネルで、可能な限り道路等公共用地の下の活用を考慮、必要に応じて大深度地下の活用を検討するとの事です。この区間は、米原駅を通る「米原ルート」、福井県小浜市付近や京都市付近を通る「小浜・京都ルート」など5ルートが検討されてきましたが、与党・自民党の「整備新幹線建設推進プロジェクトチーム」は2016年12月、敦賀~京都間を「小浜・京都ルート」に、2017年3月には京都~新大阪間を京都市南部を通る「南回りルート」に決定されました。

北陸新幹線の敦賀〜新大阪間については、現在のサンダーバードが全国の在来線特急の中でも最大級の輸送量となっており、収益的に見ても、すぐにでも新幹線を建設すべき状態にあります。たまに『12両編成、30分ヘッドの運行なので過密・限界にはほど遠い』との意見を見かけますが、サンダーバードは新快速や普通が走る在来線を走行しており、停車駅の少ない、スジが立っているサンダーバードを増発すれば、新快速・快速が大幅な減便を強いられる事になります。また、悪天候時は頻繁に遅延、運休が発生しており新幹線にくらべると非常に脆弱です。
並行する北陸線系統を行く特急列車の本数、総連結両数は敦賀-福井間が78本、606両、福井-金沢間が86本、648本と、両区間とも輸送力はほぼ限界といってよいほどの数値を示した。この区間への北陸新幹線の建設に異論はない。
沿線の自治体などでは北陸新幹線の敦賀-大阪市間の早期着工を訴える。並行する北陸線系統の大阪-敦賀間の特急列車はというと、本数は46本、総連結両数は414両と敦賀-福井-金沢間と比べれば少ないものの、依然として高い数値を示す。北陸新幹線が京阪神圏と福井・石川・富山の各県との間を結ぶことで生じる利便性を考えれば、着工も妥当と思われる。
出展:東洋経済オンライン>西日本で新たに新幹線が走るのはここだ!

本格着工に向けて一歩前進した北陸新幹線の大阪延伸計画。現在は、2023年春の敦賀開業に向け、金沢〜敦賀間の建設工事が加速しています。その先の大阪延伸の開通時期ですが、現時点では未定で、現行の新幹線の整備スキームだと2040年代の開業となりそうです。
これは、金沢―敦賀が4年後に開業しても、2031年春予定の北海道新幹線札幌開業までは国費が付かない為、8年間工事が止まる為です。これでは北陸地方と京都・大阪圏の分断が決定的になり、近畿圏は有力なヒンターランド(後背地)を失い経済的なマイナスは計り知れません。敦賀延伸が完成次第、滞りなく大阪延伸計画が着工される事が望まれます。


