大阪メトロは2022年4月7日付けのニュースリリースで、地下鉄9駅のリニューアルデザインを発表しました!対象駅は、御堂筋線の淀屋橋、本町、大国町、天王寺、中央線の大阪港、弁天駅、本町、谷町四丁目、森ノ宮です。
同社は中期経営計画(2018~2024年度)で「地下空間の大規模改革」を掲げており、老朽化した駅の壁・天井の剥離や落下等を防止する安全対策工事に合わせてリニューアルを行い、駅自体を楽しめる空間として提供する取組みを進めています。
2019年3月に約300億円を投じて計15駅を改装する計画を発表し、同年8月に御堂筋線梅田駅・心斎橋駅など5駅の決定デザインを公開、グランドリニューアルが進められてきました。今回発表の9駅が加わり、2025年大阪・関西万博に向けてリニューアルする全駅のデザインが明らかになりました。
【出展元】
→安全・安心の追求とワクワクする「地下空間の大規模改革」 9駅のリニューアルデザインが決定しました
リニューアルについては、GM、ポルシェ、ピニンファリーナでキャリアを重ねた国際的デザイナーで、大阪メトロのチーフ・デザイン・オフィサー(CDO)を務める奥山清行氏が監修しました。駅のリニューアル工事は2024年度までに完了する予定で、2025年大阪関西万博の開催時には美しく生まれ変わった地下鉄駅が来場者を出迎える事になります。
1:淀屋橋駅:アーチ構造の象徴
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淀屋橋駅のデザインコンセプトは「アーチ構造の象徴」。古くから政治・経済の中心地として大阪を支えてきたこのエリアの伝統と格式を、重厚感のある石材やモノトーン基調で表現し、現状のシャンデリアを記憶のモニュメントとして踏襲しつつ、これまでの資産をモダンに再生。開業以来の基本的な構造はそのままに、現代に求められるサービス水準に引き上げるリニューアルとなっています。淀屋橋駅ではシンボリックなシャンデリアも再現されます。
2:本町駅:インターセクション
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本町駅のデザインコンセプト「インターセクション」。 南北の大動脈の御堂筋線と東西へ発展する中央線の2路線が交わり、万博とその先の未来をつくることをコンセプトに高い機能性と象徴性の調和する駅を目指します。
御堂筋線はダブルアーチの天井形状と柱の造形を活かしながら、高級感のある素材と最新の照明計画により、モダンとクラシックが共存するデザイン。本町駅は、御堂筋の他駅に比べると圧迫感がありますが、リニューアルではダブルアーチの天井や柱を光らせる事で、閉塞感を取り除く工夫が成されています。
※本町駅は、御堂筋線・中央線で2駅としてカウントされています。
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中央線も高級感のある仕上げ素材と、最新の照明計画を採用。間接照明でラインカラーを浮かび上がらせるサイバーな演出に期待が膨らみます。
3:大国町駅:地下構造が美しい駅
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大国町駅のデザインコンセプトは「地下構造が美しい駅」。御堂筋線と四つ橋線の4線が一つの空間、それらを支える地下構造の美しさを強調したデザインとなっています。 列車が走る軌道の天井は、美しさをより際立たせるライティングで魅力的な空間に仕上げます。
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また、南のコンコースには車両模型や車両の歴史に関する、ミニ鉄道博物館的な展示スペースが設けられます。実際に走る車両を展示スペース奥の窓から見られる構造とすることで、模型と実際の車両を同じ空間で楽しんでいただける計画となっています。
4:天王寺駅:柱の美、格子の美、光の美
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天王寺駅のデザインコンセプト「柱の美、格子の美、光の美」。ターミナル駅を象徴する天井の印象的なグリッドと、連続する柱の美しさを照明の灯りで際立たせ、よりクリーンな空間となります。照明の当て方や素材感で、立体感のある柔らかな空間に仕上げます。シンボリックなシャンデリアは無くなる様ですね。
5:大阪港駅:海
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大阪港駅のデザインコンセプト「海」。海を臨む地上駅としてその臨場感を活かし、大海原を泳ぐ大型の海洋生物をイメージして駅舎のデザインに活かしました。ホーム屋根には膜構造の透過性や質感を活かしながら、曲線を効果的に用い、駅空間の魅力を演出します。
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ホーム西側に新たに展望デッキを設け、先端にはパラソルやクジラの潮をイメージしたシンボルを設置。海がより近くに感じられるような展望スペースを計画。
6:弁天町駅:ステーション アート
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弁天町駅の1ザインコンセプト「ステーション アート」。大型デジタルサイネージを取り入れる事で、照明や映像による演出を行い、アートを体感できる空間に駅を昇華。巨大なサイネージディスプレイはLEDビジョンでしょうか??
7:谷町四丁目駅:ジャポネスク
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谷町四丁目駅のデザインコンセプト「ジャポネスク」。歴史的にも精神的にも大阪のシンボルである大阪城。その大阪城に最も近接する駅として、和を柱や壁のグラフィックとして表現し、次世代への新たな美として世界へ発信する駅をテーマとしました。
8:森ノ宮駅:フォレスト
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森ノ宮駅のデザインコンセプト「フォレスト」。自然のある大阪城公園に隣接した立地を活かし、柱などの随所に木の枝の表現を取り入れています。家族連れやインバウンドの方々など、すべての人々が集い親しむ、開かれた森のような駅を目指します。
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西のコンコースには、今回のリニューアル工事で役目を終える御堂筋線のシャンデリアなどの歴史的価値のあるものを展示する、ミニ博物館的なスペースが設けられます。大阪公立大学を中心とした、街づくりが計画されており国際的な観光拠点である大阪城公園に駅が隣接していることから、Osaka Metroの歴史を広く知ってもらる考えがあります。
グランドリニューアルが完成・進行中の6駅
9:心斎橋駅:ジ・オオサカ・ブランド
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心斎橋筋駅の新コンセプトは「ジ・オオサカ・ブランド」。多くのブランドショップが並ぶ地域との連続性を深め、大阪を代表する高級店が並ぶ現代の心斎橋を象徴する高級感と上質感を感じていただける空間を目指しています。空間全体として開業当時のアーチ構造を活かし、シャンデリアはもとの佇まいを活かしながら最新のLED技術で復元することで長い歴史が感じられる空間となります。
10:堺筋本町駅:船場文化
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堺筋本町の新コンセプトは「船場文化」。船場の文化・交通・物流の交わりが格子で表現されています。手仕事感が残る木調パネルと先進素材でありながら暖かみのあるチタン素材により和風モダンさと匠の交わりを表しています。
11:動物園前駅:まるで自然の中にいるかのような空間
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動物園前駅のデザインコンセプトは「まるで自然の中にいるかのような空間」。動物園前駅は公募プロポーザルで選定された中西正佳・貴志泰正・京智健 設計共同体がデザインを担当し、現在実施設計が進められています。また、CDOの奥山氏が全体のデザインを鑑みてアドバイスを行っています。
長く親しまれてきた動物タイルは保存・活用される事になりました。先端技術によって映し出される動く動物、木漏れ日のような照明、生きた植物などによって自然の雰囲気が表現されます。
12:梅田駅:大阪から世界へ
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梅田駅のデザインコンセプトは「大阪から世界へ」 “ From OSAKA to the World ” 日本最大級の巨大なパノラマLEDビジョンが設置されダイナミックな空間演出が成されます。
13:中津駅:インキュベーター発信源
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中津駅の新コンセプトは「インキュベーター発信源」 。スタートアップ企業以外にも大学や専門学校による新しい取組みなどをプレゼンテーションできる場所として「Incubator Central」をコンセプトに、機能的にもブラッシュアップが行われました。
14:新大阪駅