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「大阪城公園周辺地域まちづくり方針案」策定!京橋・OBP・森之宮がつなぐ“共創回廊”、万博後の大阪を牽引する新たな成長軸に


大阪市は2025年3月、「大阪城公園周辺地域まちづくり方針」を策定し、大阪城を中心に広がる京橋・大阪ビジネスパーク(OBP)・森之宮の3エリアを一体的に再生する構想を本格化させました。国際観光・学術・産業が融合する都市モデルの構築を目指し、回遊性の向上とイノベーション創出を通じた“ヒガシの拠点”形成が進められています。

この記事では、同方針の策定経緯から各エリアの都市構想、交通や空間整備、そして「都市の実験場」としての先進的な取り組みに至るまで、全体像をわかりやすく解説していきます。

万博後の大阪を担う、戦略的再生プロジェクト


大阪城公園周辺地域は、年間約1,100万人が訪れる大阪有数の観光地であり、特にインバウンド観光客の増加が目立ちます。その一方で、鉄道や道路による分断、エリア間の回遊性の低さが長年の課題となっていました。

そうした状況を打開し、2025年の大阪・関西万博以後を見据えた都市戦略として位置づけられたのが、「大阪城公園周辺地域まちづくり方針」です。2022年に策定された「大阪のまちづくりグランドデザイン」において、同地域は「観光・文化・学術・産業の融合エリア」とされており、万博のレガシーを生かす「Beyond Expo 2025」との連携も明記されています。

3つの目標で描く「東の拠点」形成


今回のまちづくり方針では、大阪の東西都市軸における新たな成長極として、「東の拠点」の形成が掲げられました。その実現に向け、以下の3つの目標が設定されています。


1. 国際観光拠点の強化

大阪城天守閣や大阪城ホールなどの観光資源を最大限に活用し、京橋駅前には宿泊施設やナイトカルチャー対応型商業空間の整備が進められます。これにより、来訪者の滞在時間を延ばし、地域内の周遊を促進します。


2. 国際的イノベーション拠点の形成

OBPと森之宮に集積するICT企業、大学、研究機関を結び付け、スタートアップ支援、国際人材受け入れ、共創空間整備を推進。大阪公立大学森之宮キャンパスとQUINTBRIDGEを核とする「共創プラットフォーム」が整備されます。


3. 交流と移動の円滑化

JR片町線・東西線の別線地下化や都市計画道路豊里矢田線の整備、大阪城公園駅〜森之宮〜京橋駅間の歩行者デッキやプロムナード整備などにより、回遊性とバリアフリー性の向上が図られます。

各エリアのまちづくり指針と将来像

 


京橋駅周辺――交通と観光の結節点へ

「Connective City 京橋」として、京阪電鉄・JR西日本・Osaka Metroが集結するターミナル駅の強みを最大限に活かし、交通・観光・商業のハブ機能を強化します。南北ロータリーの整備や駅前広場の再編により、歩行者動線の明確化と快適な空間づくりが進められます。

駅前には、外国人観光客のニーズに対応した宿泊施設やナイトカルチャー対応型の商業施設を誘致。駅前広場や緑地を活用した賑わい創出により、訪れる人々が滞在・消費・回遊しやすい環境を整えていきます。


OBP周辺――共創型ビジネス街への再定義

1980年代後半から、西日本最大級のハイテク集積地として栄えたOBP。しかし、産業構造の変化に伴い、近年は空室率の上昇や施設の老朽化が課題とされてきました。

現在の再生方針では、「集積型オフィス街」から「実証と共創の都市モデル」への大胆な転換が進められています。具体的には、既存ビルのスマートオフィス化、公開空地を活用したスマートシティ実証、QUINTBRIDGEを中心とするスタートアップ支援と人材育成など、時代の要請に応える都市機能へと再編が図られています。


森之宮周辺――未来型都市空間の具現化

大阪公立大学森之宮キャンパスを核とした「イノベーション・コアゾーン」では、スマートヘルスケア、次世代エネルギー、DX技術などの研究・実証が進められています。さらに、新駅ビル上部には空飛ぶクルマ(バーティポート)の設置が検討されており、交通・観光・ビジネスが融合した次世代都市モデルが形づくられます。

また、健康・福祉・教育が融合する多世代居住ゾーンも計画されており、スマートエイジングシティの先進事例となることが期待されています。

OBP再生の戦略


今回、注目されるのがOBPの再生への取り組みです。大阪ビジネスパーク(OBP)は、1980年代から1990年代にかけてNECやパナソニック、富士通といった大手ICT企業が集積し、西日本を代表する先端ビジネス街として隆盛を誇ってきました。しかし、その後の産業構造の変化や郊外への拠点分散、施設の老朽化などにより、かつての活気は徐々に薄れ、近年では空室率の上昇や都市機能の陳腐化といった課題が顕在化していました。

こうした状況を受けて、現在進められているOBPの再生は、単なるオフィスビルの更新や集積機能の復活ではなく、「都市そのものの再定義」を伴う挑戦的な取り組みとなっています。その核となるのが、“共創”をキーワードにした「実証と社会実装の都市モデル」への転換です。

再生の戦略は、大きく以下の3本柱に整理されます。


1. スマートエネルギーと都市OSの実証拠点化

大阪公立大学が展開する「イノベーションアカデミー」と連携し、OBP内の既存建築物やインフラを舞台に、再生可能エネルギーの最適制御、ロボット搬送、スマートビル管理などの先端実証プロジェクトを導入。都市そのものを“動的な実験装置”と見立て、フィールド型の技術開発を推進します。


2. スタートアップとDX人材のエコシステム形成

QUINTBRIDGEを中核に据え、スタートアップ企業の育成、事業創出、アクセラレーション支援を一体で行う体制を整備。OBP協議会、大阪市、大阪公立大学が連携し、起業家精神を持った次世代人材の育成プログラムも展開。DX時代に求められる実践的スキルを備えた人材を都市内で循環させる仕組みづくりが進められています。


3. 都市課題の“公開実験場”化

OBP内に点在する公開空地や水辺空間を、都市課題に関する実証実験のフィールドとして開放。防災・モビリティ・ウェルネスなどの分野において、社会課題の解決と都市の魅力向上を両立させる試みが展開されており、OBP全体が都市リノベーションの最前線へと変貌を遂げつつあります。

こうした動きの背景には、大企業だけが閉ざされた内部で研究開発を行う時代から、多様な主体が交差し、知を共有しながら社会に実装していく「開かれた知」への転換という時代の潮流があります。OBP再生はまさに、令和時代の都市にふさわしい「共創都市モデル」の先駆例として、都市開発関係者の注目を集めそうです。

「都市の実験場」としての大阪城公園周辺

大阪城公園周辺地域のまちづくり方針のもう一つの大きな特徴は、「都市空間そのものを実験と共創のフィールドと捉える」という先進的な姿勢にあります。これを具現化するため、大阪市は2025年、産官学民の連携による共創拠点「大阪城公園周辺地域イノベーションプラットフォーム」の設置を打ち出しました。

このプラットフォームは、単なる研究開発の拠点ではなく、都市課題に対して実証・議論・実装を横断的に展開する“知の循環装置です。その狙いは、未来の都市に必要とされる機能や制度、空間のあり方を実際のまちで検証しながら形にしていくことにあります。

プラットフォームの取組は、以下の3つの軸に整理されます。


1. 都市課題の解決と社会実装

大阪公立大学の「イノベーションアカデミー」に設置された共創ユニットを中心に、スマートエネルギー、ヘルスケア、農業、教育など複数分野の課題に対し、研究と社会実装を直結させる仕組みを構築。実証は主に森之宮キャンパスを拠点に展開され、実生活に即した課題解決型のまちづくりが進行中です。


2. 国際会議・政策ネットワークの形成

2025年の万博を契機として開催予定の「アジアラウンドテーブル」では、アジアの都市政策立案者や国際機関が集い、都市課題を主題に政策対話を実施。OBP地区のMICE機能との連携により、大阪城公園周辺地域は「都市外交の舞台」としての性格も帯びていくと想定されます。


3. スタートアップ支援と人材育成機能の統合

NTT西日本のQUINTBRIDGEやOBP協議会と連携し、スタートアップのためのアクセラレーション施設やDX人材育成のための学習・実践環境を整備。大学・民間・自治体が連動する“都市内学習ネットワーク”の確立が視野に入っています。

このように、都市の再生を「共創」と「実証」という現場性に根ざして展開する姿勢は、従来のトップダウン型開発とは明確に一線を画しています。大阪城という歴史文化資産に象徴される“伝統”と、プラットフォームに結実する“未来”が共存するこのエリアは、都市の実験的フロンティアとして、国内外に新たなモデルを提示しようとしています。

都心とは異なる、新たな都市モデルの形成


大阪城公園周辺地域が描くまちづくりの大きな特徴は、梅田や難波といった既存の都心エリアとは異なるアプローチによる“価値創出型都市モデル”の構築にあります。従来の都心部が主にオフィス機能や商業集積を中心に展開されてきたのに対し、この地域では、「観光」「学術・研究」「イノベーション」という都市機能が一体的に融合し、持続的かつ包摂的な都市成長を志向しています。

とりわけ注目すべきは、都市そのものを“実験場”と捉える柔軟性と先進性です。公開空地や親水空間といった既存インフラを積極的に活用し、スマートエネルギー、次世代モビリティ、防災、ウェルネスといった多様なテーマで実証実験が展開される都市空間は、全国的にも稀有な事例です。これは、単にテクノロジーの導入を目指すのではなく、社会課題の解決を目的とした“共創型の都市開発”である点に大きな意義があります。


また、都市景観の観点から見ても、梅田の高層オフィス群や難波の密集商業地とは一線を画しています。大阪城を中心とした歴史的景観、緑豊かな公園空間、水辺との調和、歩行者優先のプロムナード整備など、ヒューマンスケールで居心地の良い都市環境が形成されつつあります。このような空間構成は、日常的な都市生活者にとっての“滞在価値”を高めると同時に、観光客にとっても「体験型の都市」としての魅力を増しています。

さらに、同エリアでは学術・政策・国際ネットワークとの接続性も重視されています。大阪公立大学が担う都市シンクタンク機能や、QUINTBRIDGEによる産業界との連携、「アジアラウンドテーブル」による国際政策議論の場の創出など、都市空間の中に“知の流通”と“社会実装”の回路が埋め込まれている点は特筆すべきです。これにより、単なる研究・教育機関にとどまらず、都市自体がダイナミックに課題と向き合い、世界に向けて発信する知的拠点となる可能性を秘めています。

このように、大阪城公園周辺地域は「暮らす・働く・学ぶ・訪れる」といった都市活動が高次元で融合し、都市空間そのものが日々アップデートされていく構造を持っています。これは、都心部のような既存インフラに縛られないからこそ実現できる柔軟な都市設計であり、同時に、今後の都市のあり方を先取りする先進モデルとして、全国のまちづくり関係者からも注目されています。

歴史と未来、知と技術が交差する都市へ――大阪城公園周辺が描く新たなまちのかたち

 

大阪城公園周辺地域まちづくり方針が目指しているのは、単なるハード整備や施設更新にとどまらない、“都市の機能と価値の再構築”です。観光、学術、産業といった分野がそれぞれの枠を超えて交差し、新たな創造の循環が生まれる――そんな都市空間を、京橋・OBP・森之宮の3エリアが連携して紡ぎ出そうとしています。

その根底にあるのは、「知を開き、人が交わり、未来を試せるまち」という理念です。大阪城という歴史的資産に根ざしながらも、次世代の技術や共創が日常的に育まれる場として、地域全体を“共創回廊”と見立てる発想が、これからの都市モデルを牽引していくことになるでしょう。

都心の消費型都市とは異なる、創造と実験に満ちた“もうひとつの都心”。大阪城公園周辺地域は、その象徴として、これからの大阪の成長と変革を内側から支え、外へと発信していく舞台になると期待されています。


2 COMMENTS

ぷんぷい

大阪って、古代より、地政学的にもクロスロードなんです。
いろんな人が集まることによって価値を生み出してきた。
明治維新で首都が東京に移転して、リソース吸い取られ随分と苦しめられてきましたが、いよいよ真価を発揮できる時代が来る!?カナ???

ガンマ

日本で「歴史」においては近畿地区が絶対に欠かせないエリアです。
また歴史が古いがゆえに、硬直化して前に進まないこともあったと思います。
過去に築き大切に守られた宝の山を掘起こし、その点を線で結び国内外でも高く評価される
街づくりに期待しています。

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