2019年10月5日から大天守の特別公開 第一弾が始まった熊本城。前回は蘇った大天守をご紹介しましたが、今回は城内に残る震災の爪痕をご紹介したいと思います。広大な熊本城の各所に生々しく残る被害箇所。その姿をみれば地震のパワーと恐ろしさを実感していただけると思います。
【出展元】→熊本市>第2章熊本城の被害状況
戌亥櫓(いぬいやぐら)の様子です。棟札に慶長 7 年(1602)に西出 丸の大黒櫓(戌亥櫓)が完成との記録があります。明治初期に櫓が解体されましたが2003年に復元されました。被害状況は、外壁ひび割れ、建造物 たわみ、倒壊のおそれ有りとの事です。
石垣が崩壊し、ジェンガの様なバランスでなんとか持ちこたえています。
驚いたのが空堀に散らばった石垣の石。おそらく崩落したそのままの状態だと思われます。このサイズの石が降ってきたら・・。ひとたまりもありませんね。
石垣を同時多発的に各所で崩壊させる地震のパワーに驚きました。
宇土櫓(うとやぐら)の様子です。慶長年間の創建といわれており、昭和 2 年(1927)、解体修理。平成元年(1989)には半解体修理が行われました。被害状況は五階櫓屋根・外壁・建 具破損、続櫓倒壊との事です。
さらに驚いたのが、この巨大な石垣全体の崩壊を防ぐ為に石垣全体がワイヤーネットで補強される事。これを修復するには相当な時間がかかりそうです。
本丸御殿の様子です。大広間は慶長 15 年(1610)頃に完成しましたが、明 治 10 年(1877)2 月 19 日に焼失。大広間棟・大台所棟・数寄屋棟が2008年に復元されました。被害状況は外壁破損、地盤面沈下 による上段ノ間不陸及 び数寄屋棟変形です。
南大手門の様子です。軍時代に撤去され2002年に復元されました。外壁ひび割れ、建造物 たわみ・変形、倒壊の おそれありとの事です。波打った屋根瓦が痛々しい。
天守閣近くの石垣も崩落したままでした。こちらは売店でしょうか・・・?崩落した石垣に押しつぶされそうになっています。
広範囲で石垣の復旧工事が行われていますが、あまりに広範囲なので工事が終わるのが何時になるのか?見当が付きません。
崩壊した長塀の様子です。特別公開のルート上に位置していますが、応急処置を施された後は、ほとんど手つかずの状態となっています。
本丸御殿の様子です。剥がれ落ちた漆喰が痛々しいです。
城内各所に残り震災の爪痕。あまりの範囲の広さと被害の大きさに正直絶句しました。城内各所で復旧工事が行われていますが、まだ手つかずの箇所も多数見受けられ、お城全体を完全復旧させるには気が遠くなる様な時間がかかる事はすぐに理解できました。
特別公開が始まった熊本城は「復旧が進み復活しつつある希望の熊本城」と「凶暴な地震の力と被害の大きさを実感する悲しみの熊本城」の2つを学ぶ、そんな場所になっていました。読者の方で熊本を訪れる機会があれば、ぜひ熊本城を訪れて欲しいと思いました。