南海本線(堺市)連続立体交差事業は、石津川橋梁付近から高石市域に至る、事業延長約2.7kmの高架化事業です。途中諏訪ノ森駅、浜寺公園駅の2駅が高架化され、7箇所の踏切が除却されます。概算事業費は約423億円を予定しています。
【出典元】
→堺市HP>都市計画事業南海本線(堺市)連続立体交差事業についてその1
【事業概要】
事業名称:南海本線(堺市)連続立体交差事業
事業延長:約2.7km(堺市域:約2.3km 高石市域:約0.4km)
踏切除却数:7箇所
高架化される駅:諏訪ノ森駅、浜寺公園駅
鉄道と立体交差する都市計画道路: 諏訪森神野線、 常磐浜寺線、 浜寺鳳線
関連側道:約2.9km(東側約1.1km、西側約1.8km)
関連事業: 諏訪ノ森駅前線整備、 駅前交通広場整備(諏訪ノ森駅、浜寺公園駅)、浜寺公園駅前土地区画整理事業
概算事業費:約423億円(事業費負担割合)堺市:約92%(うち約55%に国の補助金活用)南海電気鉄道株式会社:約8%
完成予定年:2028年3月末
高架化工事が各所で行われている南海本線ですが、今回は高架化工事が計画されている浜寺公園駅付近の状況をご紹介します。浜寺公園駅は大阪府堺市西区浜寺公園町二丁にある南海本線の駅で、2面4線の設備を持つ地平駅です。1日の乗降客数は4,207人。高架化後は2面2線、通過線2線の構造を持つ、新幹線型の高架駅になります。
浜寺公園駅といえば1907年に建てられた木造平屋建ての駅舎が有名です。大阪市中央公会堂や日本銀行大阪支店、東京駅丸の内口駅舎を設計した辰野金吾が手がけたこの駅舎は1998年に国の登録有形文化財に登録されており、現存利用されている私鉄駅舎の中では最古の駅舎です。※厳密には浜寺公園駅の駅舎は現在閉鎖中です
浜寺公園駅駅舎については、 次世代へ文化財的価値が継承できるような保存活用方策が検討され、「 保存場所は、新駅舎に近接して配置する」「 活用については、中央部分は、新駅舎のエントランスとする」「また、両側部分は、来場者が集い・憩いの場とし、施設運営については、市民や民間活力を活かす」などのガイドラインにそって浜寺公園駅・諏訪ノ森駅 駅舎及び駅前交通広場等計画提案競技が行われ、株式会社アプル総合計画事務所(ハ44 作品(PDF:2,698KB)が最優秀賞に選ばれました。
【出典元】
→浜寺公園駅及び諏訪ノ森駅 駅舎保存活用構想
→浜寺公園駅・諏訪ノ森駅 駅舎及び駅前交通広場等計画提案競技について
■現木造駅舎を引き立たせる「背景」となる新駅舎デザイン
新駅舎ファサードは現木造駅舎を引き立たせる存在と位置付け、シンプル で、ニュートラル(中性的)な素材・色彩のものとし、現駅舎の「背景」としての おとなしいデザインを目指す。
■周囲への圧迫感を軽減、新駅舎のファサードデザインの分節化
現駅舎及び周囲の閑静な住宅のスケール(ボリューム感)との関係から、新 駅舎のファサードは1階と2階部で分節し、かつ2階部は明るい色調の外装板 とするが、中央部は現駅舎の屋根との関係、視線の抜けのために透過性のあ る外装(ガラス)とし、ホームからも現駅舎の屋根・駅前広場、駅前線を望めら れるように配慮する。
■地域の気象条件や周囲の風景に調和した素材、維持管理への配慮
海に近い立地条件に配慮し、採用する素材は潮風に強く、耐久性の高い素 材を用いることで、将来的なメンテナンスコスト軽減にも配慮する。 夏季の海からの自然の風をホームや駅舎内に取り入れ快適性を高めるな ど、省エネや地域環境に配慮したしつらえとする。
■正面の木造駅舎への通景(ビスタ)を妨げない施設配置
駅前広場・駅前線から現木造駅舎への眺望を尊重するため、駅前広場・駅 前線は地となるシンプルな素材、意匠、施設配置とする。 駅前線の街路樹は軸線を強調すべき、「歴史的経緯を有する“マツ”」を規則 正しく配置し、ビスタを強調する。 広場部は街路樹を両脇に寄せることで、現木造駅舎への視界を確保する。
■夜間景観の演出に際してのきめ細かいライトアップ手法
現駅舎のライトアップ手法をあらかじめ広場設計の段階で一体的に検討を 行い、歴史的木造駅舎の繊細さを尊重する照明技法を採用する。 広場照明計画、背後の新駅舎照明計画、内部照明および展示照明計画とも 連動し、利用者の安全性、快適性(グレアカット)、省エネ性にも配慮する。
■ファサードデザイン
現駅舎の背景となる部分の外壁はガラス面とし、駅前広場から見た際に、この ガラス面に空が映り込み、新駅舎の存在を極力感じさせないことを目的とする。 その他のホーム階外壁は、整備コスト及び維持管理面に配慮してセメント系 パネル等とする。 1階のガラス面には、現駅舎付属のホーム上屋の姿や鉄道車両などをデジタ ルプリントしたシートを貼ることで、現駅舎と一体となった歴史的な風景の再現 に努める。
■雨・風対策
新駅舎の外装は、極力駅施設として実績のある標準的納まりに努める。 現駅舎と新駅舎の接続部は、現駅舎に付属する3番線ホーム屋根の架構を再 現し、エキスパンションジョイント部に雨樋を設ける。(屋根面は網入り波型ガラスとし、採光を兼ねる) ホーム外壁面には、スリット状のガラリをホーム足元に設け、海風、山風を導 入することで、ホームの快適性を高める。
■内観デザイン
コンコース全体の内装は、全体の色調をニュートラルな色、素材に統一し、歴史的展示等とのコントラストを際立たせる。 壁面は耐衝撃性・安全性の高い素材とする。(アルミ樹脂複合板等)
■現駅舎への通景(ビスタ)を演出する駅前広場
駅前広場の形状は、現駅舎への眺望を重視して左右対称の線形とし、南北に バス及びタクシーバースを確保する。身障者用バースは、利用しやすい駅正面南 寄りに配置する。 駅前広場ロータリー以外の南北のスペースは、歩行者通行帯(5.5m)を確保し た上で多目的空間を確保する。 駅前広場及び駅前線は、基本的にはバリアフリーに配慮してセミフラット型と するが、バス停部分のみ乗降しやすいようマウンドアップ型を提案する。
■維持管理に配慮した素材選定
車止めや照明灯、シェルター等は、極力シンプルなデザインにすると共に、維 持管理のしやすい製品とする。 舗装についてもコスト、維持管理面、環境へのやさしさ(透水性・保水性等)に 配慮したコンクリートブロック舗装を基本とする。色は歴史的景観に配慮しグレ ー系の濃淡2色のブロックを提案する(最終的には市民意見、管理者意見も踏ま え決定する)。
現在の浜寺公園駅の様子です。現役最古参旧の木造駅舎を持つ駅の為、ホームや上屋、待合室など全てのアイテムから歴史を感じる事が出来ます。
下りホームにある待合室の様子です。
このレトロな浜寺公園駅にも高架化工事の荒波が押し寄せています。上の図は現地に掲示されていたパネルを撮影したモノですが、既に仮設駅舎が設置され、木造駅舎は一時的に閉鎖されていました。
高架化工事に伴い少しつづ姿を変え始めた浜寺公園駅。木造駅舎はそのまま高架駅舎のエントランスとして活用されるとの事なので
、ほっと一息です。これから徐々に姿を変えてゆく浜寺公園駅も追跡取材を行ってゆきたいと思います。
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新しくなる浜寺公園駅楽しみですね!
待合室もなかなか風情があるんですね、、、早めに見に行こうかな。
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すごく錆びついてますけど古き良き歴史を感じますね
なんとか原型を留めつつ上手く改修できないものですかね
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この待合室もすごくいいですね。
私もつぶされるなら残念です。
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下りホームの待合室も味がありますね。
これも保存の対象にしてもらいたいですが欲張りすぎかな?