リッツ・カールトン京都(The Ritz-Carton Kyoto)は、京都市中京区の鴨川沿い、二条大橋畔に所在する外資系ラグジュアリーホテルです。大阪、東京、沖縄に次いで国内4ヶ所目のリッツカールトンとして2014年2月に開業しました。
計画地は、江戸時代の豪商・角倉了以の屋敷跡で、周囲に公家や宮屋敷が立ち並んでいた、東山三十六峰を一望する風光明媚な地として知られる場所です。
以前には、藤田観光が「ホテルフジタ京都」を営業していましたが、2006年に積水ハウスが土地・建物を取得し、2011年に「ホテルフジタ京都」としての営業を終了。その後、積水ハウスが中心となって新ホテルを企画・開発し、マリオット・インターナショナルの最高級ブランドホテル「リッツ・カールトン京都」が開業しました。
【出展元】
→リッツカールトン京都(公式)
→マリオットホテルグループの最高級ブランド 「ザ・リッツ・カールトン京都」2月7日(金)開業
リッツカールトン京都 宿泊記 Part2 〜客室(グランドデラックスカモガワリバービュー:55㎡)・「ラ・ロカンダ」での朝食編
厳しい景観規制をクリアする工夫
東側を流れる鴨川の対岸から見たザ・リッツ・カールトン京都の全景です。ホテルは、地上4階・地下3階建て、軒高15m。鴨川に面した全長約122mの建物が鴨川に沿って南北に細長く延びています。
ホテル周辺は2007年に京都市が施行した新景観条例により厳しい制限がかけられていますが、半地下のサンクンガーデンを設け、地下部にホテルの共用部を配置する工夫により、建物の高さを抑えつつ、国内最高水準となる、平均面積50㎡の広い客室を計134室を展開しています。
外観のアップです。屋根は3寸勾配で、ふき材はステンレス素地。鴨川に面した外壁を雁行させるなど、横長の建物が単調にならない様な造りとなっています。金属やガラス・プレキャストコンクリートなど現在の素材を用いつつ本格的な日本建築のたたずまいを見せています。2016年には、第57回BCS賞を受賞しました。
鴨川とリッツカールトン京都(写真左)の位置関係はこんな感じです。
街に溶け込む控えめなエントランス
敷地の南側にあるメインエントランス付近の様子です。国内有数の超高級ホテルにしては、とても控えめな感じで、京都の街に溶け込んでいる印象です。
真正面から見るとこんな感じです。シンプルなのですが、部外者が「なんとなく入る」には敷居が高い感じがりました。リッツカールトンが放つオーラのせいでしょうか(笑)
玄関をくぐるとリッツカールトンのロゴが入った三輪自転車が置かれていました。ここはフォトスポットになっていて、記念撮影されている方を見受けました。
3輪自転車を横目に細長い回廊を下って玄関に向かいます。回廊の左右には幅の違う水が張られ、幅が大きい方が鴨川、狭い方がみそそぎ川を表しています。みそそぎ川は鴨川の分流で、昔、鴨川で禊が行われていたことが名前の由来となっています。
水景施設の奥には半地下のサンクンガーデン(日本庭園)が設けられています。日本庭園の石の一部は、旧ホテルフジタ京都にあった滝の石を再利用した物です。
ひたすら美しいのですが、ビルオタの目線で見ると、この半地下空間を活用して共用部を地下に設けた造りこそが、厳しい景観規制の中で、リッツカールトン京都が施設的な余裕を生み出せた最大の工夫と言え、とても感心しました。
京都の町家を象徴する格子を使い、京都らしさを表現したエントランスが美しい。
さあ、ホテルの中に入ってみましょう!
おおっ!玄関を入るとエントランスロビーがありました。この「縁側的なロビー」はホテルの内と外の中間に位置して言います。宿泊者が来訪者を迎える「応接スペース」的な意味合いがありそうです。
エントランスロビーの壁面は「七宝柄」をあしらった白い陶器(セラミック)で彩られていました。円を繋げた七宝柄は人と人の縁や円満への願いを表すもで、ホテルが縁を繋ぐという意味が込められています。
さらに扉をくぐり抜けけ、ついにリッツカールトン京都の館内といえる場所にきました!
大きな「松」にリスタルビーズの球体でできた「琵琶」!まるで美術館の様な空間が広がっていました。
この無数の透明の球体で覆われたアート作品は、名和晃平氏の「PixCell-Biwa (MICA)」。「PixCell(映像の細胞)」シリーズのひとつである本作品は、古都をイメージさせる琵琶のかたちの美しさとクリスタルビーズに映し出される色彩の変化が、京都の四季のうつろいと重なります。
ホテル内には、このPixCell-Biwa 以外にも、京都にゆかりのある計80人のアーティストによる作品が多数展示されとり、『源氏物語』をテーマとしたアートは約409点が展示されています。
源氏物語の「六条院」に見立てたパブリックエリア
ホテルの顔となるパブリックエリア。地上1階から地下1階・地下2階に向けて幻想的な吹き抜け空間を中心に据え配置されています。
アーティストたちは、このパブリックエリアを源氏物語に登場する架空の建物『六条院』と見立てて、優美繊細な情趣の世界を現代的に解釈し、華やかな色のある世界、貴族社会で磨かれた美意識「雅(みやび)」や「もののあはれ」を表現しています。
明暗のコントラストを取り入れた「ザ・ロビーラウンジ」
吹き抜け空間の右側(鴨川側)にある、ザ・ロビーラウンジ。町家建築特有の明暗のコントラストを取り入れたラグジュアリーなティーラウンジです。書棚に日本のアーティストの作品がレイアウトされたギャラリー&ライブラリー空間で、ピエール・エルメのデザートを中心としたアフタヌーンティーほか、ブランチに最適な軽食が楽しめます。
ラウンジを見通した様子です。和傘をイメージしたシャンデリアを中心に据え撮影しました。
完璧にデザインされたラウンジは美しいの一言です。
吹き抜け空間を反時計回りに移動してレセプション側に向かいます。撮影時にはピアノの生演奏が行われていました。
月光に輝く竹林を思わせるレセプションエリア
ロントデスク横のレセプションエリアの様子です。この写真を見ると空間自体がアート作品の様に見えますね。
レセプションエリアの奥を彩るのは、三嶋りつ惠氏のアート作品「月の光」が。京都の竹林からインスピレーションを得てデザインされたもので、月光にきらきらと輝く竹林を思わせるスペースとなっています。
ちなみに、今回はレセプションエリアではなく、1階の一番奥にある「ザ・バー」に案内され、座ってチェックインする事が出来ました。ウェルカムドリンクの日本茶と八つ橋味のお菓子を振る舞って頂きました。
吹き抜け空間を下る
吹き抜け空間を下って地下2階に向かいます。
地下1階の様子です。日本料理の『水暉(みずき)』などがあます。
吹き抜け空間を下って地下2階に向かいます。和風のデザインに現代的な照明が加わる事で、その美しさが一層引き立っています。
地下2階に到着しました!ここにはバンケットやフィットネス・プール(スパ)などがあります。
バンケット・エリアにあるソファーとカウンタ。
バンケット(宴会場)前の様子です。ため息が出る美しさでした。
『洞窟の中の青い和泉』をイメージしたプール
こちらは屋内プールの様子です。当たり前ですが、プール&スパ・エリアには客室用のエレベーターでしかアクセスできません。
プールは20mほどありますが巨大なジャクジーといった利用イメージでした。プールは、京都が宇治川や鴨川など、豊富な水に恵まれ、様々な文化を育んできたことを受け、川の流れの源にある洞窟の中の青い和泉を表現した、アートの中で泳ぐ贅沢な水辺となっています。
ここはコースプールではなくアート作品の中で過ごす、癒やしの空間でした。日本庭園の枯山水に見られる「静」と「動」の融合により禅の世界を表現しているそうです。
プールサイドチェアの様子です。クッション性があり座り心地が良いです。
水辺でゴロゴロと寛ぐとヘブン状態になりました。
さらにプールサイドにはガラス張りのドライサウナがありました。
幻想的なプールを眺めながらサウナに入る、非日常体験をする事が出来ました。
いよいよ客室階に!
長らくパブリックエリアを中心にご紹介してきましたが、エレベータに乗って客室階に向かいます!!
客室階のエレベーターホールの様子です。空間的な余裕がありメチャクチャ広いです。そして美術館の様な美しさ。
客室は写真右側が「鴨川側」、左側が「街側」となっています。
客室に向かう廊下の様子です。リッツカールトン京都では、サービスレベルを維持向上させる目的で、2022 年 7 月 13 日から 2022年 10 月 28日の間に軽微な改装「ソフトリノベーション」が行われました。
宿泊した3階はソフトリノベーション済みとなっており、毛足の長いカーペット敷きになっていました。これは、近年コロナ禍の影響でインルームダイニングの利用が増加したため、カートの走行音を抑える目的をかねて変更されたそうです。
ついに客室前まできました。
次回、客室編に続きます・・・!!
リッツカールトン京都 宿泊記 Part2 〜客室(グランドデラックスカモガワリバービュー:55㎡)・「ラ・ロカンダ」での朝食編